【中国ドラマ感想】清越坊の女たち〜当家主母〜/当家主母
清越坊の女たちを見終えたので、個人的な感想を書き留めておく。
※以下ネタバレあり。
おすすめ度 ☆☆☆☆
旦那さえいなければほとんどの件が起こりもしなかった。
いやマジで。
旦那なんかいらんかったんや。
あいつマジでいらんかったんや。
任雪堂を許すな。
そもそもの話、何故主人公である沈翠喜と曽宝琴が争わなければならないのか?
任雪堂が八方美人の優柔不断男だからだよ!!!
何が起きようが何だかんだで任一族は、当主である任雪堂の鶴の一声でまとまるさ。
実際に任雪堂の鶴の一声で主人公達が助かる場面もある。
だから代々続く織物家の当主として、上に立つ才能はあるんだと思う。
でもこの家で起きる揉め事は大体、そもそもこいつがいなければ起きなかったなんだよなあ……。
沈翠喜と曽宝琴もダメ男に惚れてしまったと言えばそれまでだが、その一言で片付けるにはあまりにも任雪堂が優柔不断過ぎる。
二人とは長い付き合いなんだからどんな事情があろうとも、「沈翠喜が正妻で曽宝琴は妾」なんてのを受け入れる訳がない事くらい分かりきっていただろうに。
結局、沈翠喜を切り捨てる事も曽宝琴を切り捨てる事も出来ない。
そのせいで二人が争い初め、家が分断され、保身に走る弟・任如風の軽はずみで一族の危機に。
ほら、任雪堂がいなかったら全て丸く収まる。
しかもこのドラマは女同士の絆や友情、そして男に頼らずとも強く生きていく姿を主に描いている為、任雪堂がいなくなるとマジで家が団結してて草。
こいつマジでいらんかったんや……。
挙句の果てには任如風の軽はずみの件によるごたごたがあったせいで、七年もの間死んだふりをして家に帰らない。
いざ帰ってきて七年も戻らなかった理由を問われると、「だって俺が帰ったら家が分断されるやん!」である。
いやお前のせいやろがーーーい!!!
まるで、「沈翠喜と曽宝琴が勝手に争い出したから自分は被害者」みたいなムーブをかましてくるが、だからそもそもお前がどっちかに決めていればそれで済んだ話なんだよなあ……。
なんなん?こいつ。マジで。
と言う任雪堂への不満は正直最後の最後まで残るが、全体的にまとまりは良い。
清時代の織物名家を舞台に、二人の主人公(メインが沈翠喜で曽宝琴はサブ主人公みたいな感じ)が争い、誤解を解き、愛とは何かを知り、強く生きて行く。
基本的にここの軸がぶれる事はないので、非常に見やすい。
ただ割と沈翠喜で曽宝琴"以外"は、省かれたり急に話が止まったり進んだりと、雑な部分が多いのでそこだけが残念ポイントって感じ。
最終回で沈翠喜の背景に林舒方の子供がいるのでちょっと笑ってしまった。
でもこの主人公以外もしっかりがっつりやるとなると、それこそ他の中国時代劇みたいに莫大な話数になるので、ここは本当にどっちを取るかって話だとも思う。
まあそもそも主人公の周りで起きる恋愛沙汰を減らせばどっちの都合も取れるのだが、身分に関係なく強く生きる女の部分を描いている為、減らし過ぎるのもなあ。
「結局主人公二人は才能に恵まれ良い男に恵まれたから幸せになっただけじゃん!」になってしまうし。
難しいね。
まあ主人公二人以外は基本的におまけだと思って見れば、そこまで不満が出るものでもない程度の描写はちゃんとしてくれている。
ちなみに個人的にこのドラマで一番好きなシーンは、丁栄の嫁・巧児が死ぬシーン。
今作は割と優しめのドラマなので、いくら妊婦の巧児が丁栄のせいで大変な思いをしていようが、まあ大丈夫だろうと思っていた。
血を流して倒れて「え?ワンチャン死ぬ?」とか思っていたら、普通に母子共に死んでしまった。
そう言う意味で吃驚させられたと言う意味もあるし、林舒方が死に際に「旦那に会いたい?」と聞いても「会いたくない」と言っていたと伝えるのが凄く良かった。
「今生でも来世でも会いたくない」は強烈でしょ。
まあ丁栄はそれだけの事を仕出かしている訳だが。
その後丁栄が巧児を抱えて「家に帰ろう」と言うのだが、もう死んでいる巧児の体に当然力など入っていない。
首にかけさせた巧児の腕がだらんと落ちる、丁栄がもう一度かけさせる、だらんと落ちる。
このくだりが、巧児はもう死んでいるのを突き付けると同時に、「今生でも来世でも会いたくない」を鮮烈に表していて凄く好き。
エモかったなあ……。
他にも好きなシーンはいくつもあるけど、このシーンの鮮烈さには勝てないなあ……。
最高に美しかった。
あんなに思い合っていたのに、ラブラブの両思いだったのに、お互いに望んで結婚したのに。
死んでも尚「お前なんかを選んだ私が馬鹿だった」を表現するの最高。
・総評
中国時代劇にしては珍しく、全三十話ちょっとと短く、全体的にまとまりも良い。
話もさくさく進んでくれるので、中弛みとかなく見てられる。
話が進まない回はないと思って良い。
強く生きていく女達を描いているので、腹が立っても大体後ですかっとさせてくれる。
痛めつけたり殺したりも、中国時代劇の中では比較的優しめ。
衣装や舞台などは非常に綺麗で丁寧。
セット感もほとんど感じなかった。
ただ全体的を通して、馬鹿で恥知らず恩知らずな男がたくさん出てくるので、そう言う意味ではイラっとするシーンは多いかもしれない。
任雪堂を筆頭に、役立たずの叔父三人衆とかね。
結構たくさん出てくるのでそこが一番の注意点。
でも話も短めでさくさく進んでくれるしハッピーエンドなので、一見の価値はあり。
そしてマジで巧児の死亡シーンを見てほしい。
美しいから。