#07 扁平精米について
今回の問題
扁平精米について述べよ。(2021年)
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200字回答
扁平精米とは、削った後の米の形が扁平になるような精米方法である。どの部分も米の表面から等しい厚さだけ削り取る等厚精米も扁平精米に含まれる。一般的な球形精米や原形精米と比べて、タンパク質など不要成分の除去効率が高い。さらに扁平度合を高めた超扁平精米もある。他の精米方法より精米時間が長くかかるが、近年の技術の進歩によって大幅に改善されてきている。砕米の発生率や胚芽の残存率が高いという課題がある。(197字)
回答の要素
扁平精米とは
削った後の米の形が扁平になるような精米方法。
どの部分も米の表面から等しい厚さで削り取る等厚精米も扁平精米の一種。
球形精米や原形精米よりも金剛ロールの回転速度を落とし、排出口の圧力を上げ、白米の乱回転を抑える。
タンパク質などの不要成分を効果的に除去することができる。
さらに扁平度合を高め、タンパク質除去率を高めた超扁平精米もある。
扁平精米のデメリット
60%精米に75時間かかる(原形精米の3倍以上の時間)。
精米スケジュールや電気代など費用の調整が必要。
一方で、近年の技術の進歩によって大幅に改善されてきている。
砕米の発生率や胚芽の残存率の高さなどの課題がある。
回答の構成
・削った後の形が扁平、等厚精米
・不要成分の高除去効率
・超扁平精米
・時間と費用の問題、技術の進歩
・砕米の高発生率、胚芽の高残存率
回答の補足
SAKE Street(2020) を参照すると、精米の方法が3つ紹介されている。
普通精米(球形精米):短時間で精米できるが、削らなくても良い部分まで削れてしまう
原形精米:元の形状比率を残したまま削る。効率的にタンパク質を除去できるが、普通精米よりも時間がかかる
扁平精米:原形精米よりも厚みをさらに削る。文字通り、削った後の米の形が「扁平」になる。どの部分も米の表面から等しい厚さだけ削り取る「等厚精米」も、扁平精米の一種
これによると、扁平精米は「削った後の米の形が扁平になるような精米方法」なので、必ずしも等厚精米とは同一ではなく、扁平精米の中に含まれる関係性である。教本の説明では「扁平精米 = 等厚精米」となっているが、「扁平精米 ⊃ 等厚精米」の方が適切のように感じる。
また、教本で指摘されている「時間と費用の問題」についても、醸造精米機の新中野工業やサタケなどの企業努力の結果、かなりの時間と費用が削減されてきている。サタケが2018年に発売した新型醸造精米機「EDB40A」では、従来機に比べて精米時間は約30%短縮、消費電力は約15%削減されている。精米歩合60%で14~24時間とのことで、扁平精米が比較的長時間かかることは引き続きだろうが、教本のように75時間はかからないと思われる。技術の進歩が早すぎて、暗記が追いつかない。
扁平精米では、精米歩合60%でも、普通精米の精米歩合40%と同等の味わいが実現できると言われている。米を必要以上に削らず、雑味の要因となるタンパク質や脂質を効率的に削れるのは素晴らしい。雑味も美味しいんだけどね。
サタケの 真吟精米 は非常に気になる。
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参考文献
SAKE Street, 精米歩合60%でも、40%と同等の味わいを実現? - 扁平精米、原形精米を学ぶ, 2020年11月4日, 閲覧2023年7月23日
SAKE Street, 「大吟醸の次」を目指して - 精米機のパイオニア・サタケが拓く新時代の精米「真吟」に迫る(2), 2022年8月26日, 閲覧2023年7月23日
日経BP, 日本酒の未来は精米機が創る 米を無駄なく使う扁平精米, 2020年2月18日, 閲覧2023年7月23日
サタケ, 11/1 新型醸造精米機を発売, 2018年11月1日, 閲覧2023年7月23日
J.S.A SAKE DIPLOMA 教本(Third Edition)p. 29
※ 引用時に出典URLを明記したものは省きました。
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