#13 熟成古酒について
今回の問題
熟成古酒について述べよ。
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200字回答
熟成古酒とは、長期間貯蔵することで、新酒にはない味わいを持った日本酒である。最近の貯蔵技術や貯蔵方法の発達により可能になった。メイラード反応により、色調が山吹色や琥珀色に変化している。カラメルやはちみつ、木の実やスパイスなど複雑な香りがあり、口当たりは滑らかであるが、苦味成分が増加していて、コクやボリューム感が広がる。ブリの照り焼き、ウナギの蒲焼など、重厚で甘みの濃い料理との相性が良い。(198字)
回答の要素
熟成古酒とは
長期間貯蔵熟成することで、新酒にはない味わいを持った日本酒。
「古酒・長期貯蔵酒」とも呼ばれる。5年以上貯蔵すると「秘蔵酒」と呼ばれることもある。
最近の貯蔵技術や貯蔵方法の発達により可能になった。
日本酒の中の糖分とアミノ酸が反応して、メラノイジンという着色物質が生成される「メイラード反応」により、色調が山吹色や琥珀色に変化している。
熟成古酒の味わい
カラメルやはちみつ、木の実やスパイスなど複雑な香りに変化している。
味は口当たりが滑らかになるが、苦味成分が増加し、コクやボリューム感が広がるようになる。
純米酒など味のしっかりした日本酒は、色が濃く香味も複雑で力強いタイプになる。
吟醸酒など味が繊細で香りのある日本酒は、低温で貯蔵されると、色の淡い香味の穏やかな淡麗タイプになる。
ブリの照り焼き、ウナギの蒲焼など、重厚で甘みの濃い料理との相性が良い。
回答の構成
・長期間貯蔵、新酒にない味わい
・貯蔵技術や貯蔵方法の発達
・メイラード反応、山吹色や琥珀色
・カラメルやはちみつ、木の実やスパイス、複雑な香り
・口当たり滑らか、苦味成分の増加、コクやボリューム感
・ブリの照り焼き、ウナギの蒲焼、重厚で甘みの濃い料理
回答の補足
古くは鎌倉時代の日蓮上人の手紙に見える「人の血を絞れる如くなる古酒」から、室町時代・江戸時代には「三年酒」や「九年酒」が新酒の2~3倍の値がついていたことなど、日本にも昔から熟成酒の価値を認める向きはあった。そんな熟成酒を坂口謹一郎先生は『日本の酒』の中で「日本の酒の卒業生」と表現している。
古酒のみを専門に扱う いにしえ酒店 や 酒茶論、そして2019年には 刻(とき)SAKE協会 が発足するなど、熟成古酒の価値を広げていく動きは活発化してきている。その中で、昭和60(1985)年にすでに発足している「長期熟成酒研究会」の草分けは価値が高いと思う。
古酒の特徴的なカラメル様の香りや焦げ臭は、主にソトロンに由来すると考えられている。いわゆる老香(ひねか)の原因物質でもある。
うなぎの蒲焼やブリの照り焼きなどの重厚で甘みの濃い料理が合うのは、熟成古酒に加えて黒糖焼酎も同じ。
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参考文献
J.S.A SAKE DIPLOMA 教本(Third Edition)p. 102,103,187
岩田 博, 清酒の熟成について, 第38回独立行政法人酒類総合研究所講演会, 2002, 7
磯谷 敦子, 清酒の熟成に関与する香気成分およびその生成機構について(1)
―清酒の古酒の香りと老香, 日本醸造協会誌, 2009, 104 巻, 11 号, p. 847-857
※ 引用時に出典URLを明記したものは省きました。
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