ツライ隔離生活
窓はずっと開いたままだ。
締めることは許されない。
部屋を出入りする度に、アルコール消毒をしている。
あれ以来、家族と顔を合わせる事はなくなった。
子供の寝顔すら見る事はできない。
いつの頃からか、私はTVを見なくなったのだが、
コロナに感染して、自宅療養している人がたくさんいる事は知っている。
しかし、隔離生活というものが
これほど孤独に満ちたものだとは知らなかった。
いや、頭では理解していたはずだが、
ここまでツライという事を、経験して初めて知った。
あの日以来、私は外に行けなくなった。
どんなに会いたくても、
家族に会う事が出来なくなった。
食欲がない訳ではない。
けど、部屋にずっといるせいか、食べる量を減らしても
おなかが空く事がなくなった。
身体の筋力が細り、日に日に弱っていってるように感じる。
隔離生活が始まり、1週間が経とうとしている。
食事
食事は、近所のスーパーのネット宅配サービスを利用している。
毎朝11時頃にインターホンが鳴る。
私は、少し待ってから、玄関を出る。
玄関の前には、注文した弁当や飲料が袋に入れて置いてある。
私はそれを家の中に入れ、私の食料と、妻・子供の食料に仕分けする。
そして、
妻・子供がいる部屋の扉の前に置き、私はまた自分の部屋に戻る。
夜20時に、明日の昼ご飯・晩ご飯、そして明後日の朝ご飯を
ネット宅配アプリから選ぶ。
私は自分の部屋に居るが、レンジは無いため、
温かいご飯を食べる事はない。
毎日、弁当と、体に気を使ってサラダとブラックコーヒーを注文する。
仕事
濃厚接触者である私はゴールデンウィークが明けてからずっと
在宅勤務を行っている。
仕事は忙しい。
というよりも、仕事以外、他にやる事もさほどない。
かなりの時間、パソコンをにらみ、電話対応をする。
メーカーの工場勤務にも関わらず、現場の事が全く見えない。
休憩を取ると言っても、
玄関に出てタバコを吸うくらいで、
吸い終わればすぐに部屋に閉じこもる。
風呂
夜19時頃になると風呂に入る。
妻と子供は夕食を食べてから入るが、
私が先に入らないと感染のリスクがあるため、その時間に入るが
風呂を沸かす事もなく、シャワーだけで済ませる。
そして、すぐに自分の部屋に戻る。
家族との接点
唯一の家族との接点はスマホである。
しかし、日中は仕事も忙しく、たまに息子とメールをするくらいだ。
妻との連絡はラインで行う。
特に用事が無いときは、私は仕事してるし、妻は疲れて寝ているかもしれないし、極力連絡は取らない。
たまに、何かの用事で電話する時があるが、電話の後に、急に孤独感がこみあげてくる。
家族に会いたい。
もう少し、あともう少しだから頑張ろう。
と息子とメールのやり取りをする。
大丈夫
きっと元通りになる日が来るから。
もう少しだけ頑張ろう。
コロナ禍の最大の敵は、孤独なのかもしれない。