『八王子市いじめ案件。市教育委員会、文部科学省への取材より』
また起きてしまった重大事案。
今回陸上部に所属していた生徒が、被害者となった。
陸上を頑張っていた姿も、取材で、明らかになり、筆者がライフワークとしている、陸上取材で、本当は、当該生徒を取材したかった。
いじめの定義
文部科学省のホームページにも法律上のいじめの定義がしっかりと明示されている。
この定義に該当すれば、誰がなんと言おうとも、それは、いじめだ。
平成29年度の全国のいじめの総件数約41万件
これが日本のいじめ、世界有数の先進国の実態だ。
①八王子市教育委員会への取材から
昨年8月家族旅行のため部活動を休んだことを先輩から
LINE上で非難された。
そのことをキッカケにご両親側から学校に相談があり9月に部活の顧問、担任、ご両親、本人で話し合いを持った。
この後顧問が上級生に事実確認をし、上級生がこの事実を認めた。
そのため、顧問は、上級生に、当該生徒へ謝罪をするように指導した。
上級生は、当該生徒に謝罪し、謝罪したことを、顧問が、直接確認した。
この後、顧問が、当該生徒に謝罪があったかどうか確認したところ、謝罪があったと答えた。
そして大丈夫か?と確認したところ、『大丈夫です』と答えたそうだ。
そのため、顧問は、この件は解決したと認識したという。
顧問が、LINEの実際の画面を確認することは無かった。
このことが行われたのは9月から10月上旬にかけての期間。
二学期になると、学校を休みがちになったが、陸上部の練習にも顔を出して、練習していた。
そして、9月9日の第29回東京ジュニア陸上競技大会。
この大会の走り幅跳びに当該生徒はエントリーしていた。
しかし当日の記録はDNS(棄権)。
大会にも顔を出さなかった。
きっと出場したかっただろう。
当該生徒は10月になると完全に学校に登校しなくなってしまった。
それからは、担任が二週間に一度の家庭訪問や三者面談を続けて行った。
教育委員会の担当者によると、一般的に不登校の生徒のお宅に家庭訪問をしても、生徒に会えないこともあるそうだ。
その日の生徒の状態によって、変わるそう。
そして、12月になると、ご両親側から、転校の意向が
学校側に伝えられた。
その後も担任は、家庭訪問を続けていた。
そして、4月になり、市内の別の学校に転校した。
一部報道がされている『当校に悪い子はいない』という発言は、校長ではなく、担任か顧問の発言だそうだ。
誰が発言したのかは、第三者委員会で、改めて調査される。
転校先の学校でも不登校が続いた。
学校に行っていないので、転校先でのいじめは、考えられない。
このあと生徒は残念ながら自殺してしまう。
ご両親側から元の学校にこの件が伝えられ、学校側が
いじめの重大事態があったと認識したという。
②生徒の手紙
当該生徒が残した手紙には不登校になった理由は元の学校の部員だったとあり、LINEで悪く言われたことや、先輩と、もめたときに助けてくれるひとが居なかったことが記されていた。
転校後も不登校だったことについて『ごめんなさい』とわびて、『もっと不登校にやさしい世界だったらな』『学校にいかなきゃダメかな』と綴られていた。
③八王子市教育委員会の今後の対応
専門家、有識者による第三者委員会を速やかに立ち上げて調査を行いたいとの意向。
担当者が昨日もご両親と面会しており、今後も、ご両親との対応も、続けていく。
④八王子市のいじめ防止対策
八王子市はいじめ防止条例を制定している。
そして、それを具体的に落とし込むための例を、基本的な方針に盛り込んでいる。
インターネットを通じて行われるいじめの具体的対策も書かれている。
全国的に、通常、最低年一回は実施をするように指導されている、いじめの全校アンケート調査。
八王子市は、合計年4回のアンケートを実施しているが当該生徒が登校していた当時のアンケートにも、いじめの記載は無かった。
周りの生徒のアンケートにも、いじめの記載が無く、結果的に、学校のいじめの認識が遅れた。
⑤いじめについて文部科学省への取材
平成29年度の中学生の自殺者数250人。
そのうちいじめが原因と考えられているのは10人。
一般的な傾向として、教師が抱え込んでしまうケースが見られる。
校長に報告し、校長が教育委員会に報告。
学校、教育委員会、教育委員会側がいじめ問題の解決の協力を依頼している専門家と連携しながら、解決を図ることが望ましいというのが、文部科学省の見解だ。
また、複雑ないじめについては、地域の児童相談所との連携も必要かも知れないと担当者。
そして、学校から帰ってからのSNS上でのいじめの認知が非常に難しいと。
中学生のスマートフォンの所持率が6割の今。
インターネットの正しい使い方を普及させていく必要性を感じていると。
とにかくいじめを見逃さないようにしたいというのが文部科学省の強い意志だ。
取材後記
この一週間、いじめの重大事案が発生している。
八王子の案件は、顧問が、もう少し踏み込んで、確認すべきだったと思う。
ただ、第三者委員会で、事実関係の解明がされる前に、憶測でのコメントは控えようと思う。
生徒が、不登校を決断してしまうと、学校に復帰することが難しくなる現象も、全国の取材で認識している。
ここ一週間に起きた重大事案は、全て取材を行った。
以前から、いじめ、パワハラ、体罰、教職員の休職の問題も継続的に取材中だ。
いじめに関しては早期に認知し、校長がリーダーシッブを取り、教育委員会と連携したことで、解決に至るケースもある。
一方で教師の報告を校長が教育委員会へ、6カ月報告しなかった例もあった。
日本人の意識に何か起こると、隠そうという意志が働く。
これはどの世界でもそう。
この意識を改善していかないと、いじめも無くならない。
首相や大臣といった日本のトップが見本を見せなければならないが、実際は逆だ。
複雑、深刻化しているいじめを担任教師ひとりで解決することは、大変困難な状況になっている。
御家庭、担任、スクールカウンセラー、校長。
そして、教育委員会。
これに教育委員会が解決の協力を依頼している専門家。
全ての関係者がひとつのチームを作り、解決に向かわないと、また悲劇が起こる。
そして、不登校になってしまった場合は、学校に戻らなくても良い選択肢を、生徒に提示してあげたい。
高卒認定試験(旧大検)で大学にも入学出来る。
留学しても良い。
バイトをして、その後、勉強を始めても良い。
人生は長い。
レールの上を走り続けることだけが、人生ではない。
とにかく、夢のある、将来がある若者が命を立つ決断だけは、何としても、避けたい。
『日本人の知恵を結集させて。』
最後になりましたが、陸上を想う存分出来なかった当該選手のご冥福を、こころより、お祈り致します。
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