『ゆるキャラグランプリの知られざる舞台裏。四日市と大牟田市を取材して。※追記、コンテスト終了後の担当者コメント。』
地方自治体のシティープロモーションの苦しい現状を理解して、マスコミ各社は、報道しているのか?
甚だ疑問だ。
シティープロモーションの予算が取れない。
だからこそ、四日市市は、業者に頼むのでは無くて、市職員にお願いした。
自治体の苦肉の策を、批判出来るのか?
組織票は以前からあった。
①四日市市シティープロモーション部への取材より
担当者によると、IDを作成した数は、正確な数は正直分からない。
個人的にはトータル2万ぐらい行っているかも知れないが、1万ぐらいではないか。
2万も市の職員が投票出来ない。
1メールアドレスにつき、1日1回投票出来る仕組み。
市の職員にメールアドレスを渡して、家族、友人、知人などにもさばいてもらっていた。
どの位協力してくれる家族、友人、知人がいるか調査、集計してメールアドレスを渡していた。
市のプロモーション活動の一環として行っているので、全職員が応援するのは、当然というスタンス。
勤務時間中に投票するのは構わないが、仕事に支障を来しては困る。
お昼休みに投票タイムを設けて、放送を流し、告知と共に、こにゅうどうくんのテーマソングを流していた。
こにゅうどうくんテーマソング
市のパソコンのスペックが古いため、自宅のパソコンやスマホで投票を行っていた職員もいた。
この市職員全体での投票呼び掛けにはキッカケがあった。
昨年ゆるキャラグランプリが三重県で開催され、そこで過去最高の4位になった。
3位になりそうなところだったが、残念ながら、4位。
四日市の4で丁度良かったと、ここでのゆるキャラグランプリ卒業も考えたそうだ。
例年ゆるキャラグランプリの1位は完全に、大会を卒業。
2位、3位のキャラクターも大体卒業する流れがあるそうだ。
ゆるキャラグランプリには、ご当地枠と企業枠がある。
実際、今年のご当地枠に出場している、過去から有名なキャラクターは見当たらない。
昨年4位の実績がある。
そして上位1~3位も卒業した。
今年も頑張ろうという雰囲気になったそうだ。
市ではこにゅうどうくんに関するアンケート調査を
行ったことがある。
そこでの市内の認知度は80%以上。
市内では商店街に、こにゅうどうくんが描かれているLEDの看板がある。
市内ののぼりにも、こにゅうどうくん。
公衆無線LANのフリーWi-Fiのサインもこにゅうどうくん。
四日市はコンビナートで有名な街だが、その中のタンクに、、、こにゅうどうくん。
非常に認知度が高い。
この認知度が高いこにゅうどうくんを、何とか日本一にしようという市民の想いも強い。
ただし、こにゅうどうくんは、妖怪キャラクターのため、好き嫌いはあると担当者も認めている。
人口約31万の街が一体となり、ひとつの方向に向かっていく。
小さいお子さんから高齢者まで、年代を問わない企画。
街ぐるみで、みんなが応援出来る良い機会と捉えた。
全国的にシティープロモーション予算は、限られている。
京都市も、市にゆかりのある倉木麻衣さん出演のPR動画を作成している。
しかし、全国ネットでCMを流す予算は無い。
政令指定都市でも、このような状況。
普通の街が、いかに、シティープロモーションに苦戦しているか?
分かって頂けると思う。
四日市も市のPR動画を作成している。
京本政樹さん×こにゅうどうくん
ここにも、、こにゅうどうくんが登場している。
そしてゆるキャラグランプリの実態
ゆるキャラグランプリにエントリー料は必要無い。
そして11月17日(土)~18日(日)にゆるキャラグランプリ2018表彰式が行われる。
ここで、最終投票(会場投票)が実施される。
ここへの出店料が三角屋根のテント半分のスペースで
3万5千円(税別)
テント一つのスペースで7万円(税別)
四日市は今回優勝を狙っているため、テントひとつのスペースを申し込んだ。
ここで行われる決戦投票の一票の重みは、インターネット投票の2倍(昨年度)
今年はまだ発表は無いが、例年2倍だそうだ。
このイベントに動員を掛ければ、順位逆転も、理論上可能になる。
四日市がこのグランプリに使っている予算は、出展料だけだ。
それでは過去投票数が、どのようになっていたか?
11月1日時点の四日市の投票は、約118万票で、暫定1位。
2年前は3つのキャラクターの三つ巴となったが、それぞれ400万票代の争いだった。
この3つの自治体全て人口10万を切る街。
三年前のグランプリの浜松市の家康君は690万票。
広告代理店の力ではないか?と噂されていたそうだ。
昨年の企業の部の優勝、りそなグループのりそにゃは100万票以上。
このグランプリでの組織票はある種公然の事実となっていた。
取材を進めていくと、なぜ今年だけ、組織票とマスコミが騒ぐのか?
疑問に感じる。
少ない予算の中で、必死に導き出した市のプロモーション活動。
これを批判するなら、大会を見直すべきだし、投票スタイルを厳格化すべきだ。
四日市や大牟田を吊し上げても、何ら解決にならない。
四日市もこれまで長期間101日に渡って頑張って来た。
来週のイベントを辞退するつもりは無い。
但し、今回の件でお騒がせしたことに対して、こにゅうどうくんを応援して下さった方々、そして市民の皆さんに、お詫び申し上げるとの見解だ。
②大牟田市への取材
大牟田市のゆるキャラ、ジャー坊。
平成29年3月に市制100周年を記念して新しく誕生した。
大牟田市は今深刻な高齢化が進んでいる。
高齢化率35%
人口減少も進んでいる。
人口約11万5千。
高齢者の方々にも、投票して頂こうという想いから、インターネットにあまり馴染みの無い、パソコンに不慣れな、スマホを持っていない高齢者のために、1万のアカウントを用意した。
公民館に、タブレット端末も用意し、そこに来てくれた高齢者の方に投票の仕方もレクチャーした。
人口減少と過疎化に悩む街が、将来の街づくりのために、職員にも協力して貰い、多くの市民の皆さんと一緒に、何かに向かう一体感を出したいと考えた。
大牟田市は以前は炭鉱の街だった。
しかし炭鉱が閉山となった。
炭鉱が廃れてダメージを追った街は全国的に多い。
この三つは2015年に世界遺産に登録された。
100周年を記念して新たに誕生した、新しいゆるキャラと共に、大牟田という街を有名にしたいという想いから、今回の投票行動を実施した。
取材後記
マスコミ各社は、地方公共団体の課題を、本当に認識しているのか?
予算が無い中でも、シティープロモーションを行っていかないと街の存続に関わる。
映像のまち足利市のように、市役所に、映像のまち推進課を設置した市もある。
街の特色づくりに必死だ。
人口減少、高齢化が確実に進んでいる。
その街の努力を伝えずに、あたかも、不正を行っているような報道には、疑問と憤りを感じる。
予算があれば、もちろん、そんな自主努力もいらない。
予算が無いからこそ、アイデアで勝負するしか無いのだ。
そんなことも、お構い無しに、吊し上げを行い続ける
マスコミ。
自分達が廃れていることに、もうそろそろ気付いた方が良い。
ずっと頑張って来た四日市市、そして、大牟田市には、最後まで、是非、頑張って欲しい。
追記
コンテスト終了後、観光交流課課長小松さんが、今回の大会を振り返る取材に快く応じてくれた。
『今大会を振り返って。』
結果は、1位から3位になったが、大会委員会が決めたことに関しては、真摯に受け止めさせて頂く。
本来望むべき方向では無かったが、各種報道で、こにゅどうくんが、有名になったことは、結果的には良かった。
本来、組織票とは、フラットな、ニュートラルな言葉であるはず。
知人、グループという名の組織で一生懸命応援してくれたのも、組織票。
ゆるキャラを持つ自治体という一丁目一番地の組織が、組織を上げて応援せずして、市民が応援してくれるだろうか?
組織票という言葉が、悪のイメージで、世間に一人歩きしたことは、ただ残念だ。
おっしゃる通りだ。
取材後記
今回ゆるキャラの取材を初めて行った。
意外なことが、たくさんあった。
今、地方は、人口減少、そして、緊縮財政で疲弊している。
その地域活性化のために、生まれたゆるキャラ。
ゆるキャラに頼らずに、地方創生を行って欲しいと
いう意見や、もうゆるキャラバブルは終わったとの意見が、コンテスト終了後の紙面を踊った。
地方がそんな中でも、苦悩して何とかしようという努力を知っての発言なのか?
『現場を、知らずして、全てを語ることは、出来ない。』
ゆるキャラに、頼らざるを得ないのが、実態だ。
東京都でさえ、ふるさと納税創設で、23区全体で、321億円の減少になり、区民生活にも、影響が出ている。
この国は、どこに向かっているのか?
単純に、それは悪だとか、言っている状況では無い。
必死の自治体の努力、そして、創意工夫を、悪と判断されたら、もはや、地方自治体の生きる道が無くなる、
マスコミに、踊らされすに、真実を見極める目。
これが、今、国民一人ひとりに求められている。
最後まで読んで頂きありがとうございます。今、気になるネタをどんどん紹介、そして斬り込んで行きます。『本当に知りたいことにフォーカス。』より的確な取材活動のために、もしよろしければ、サポートをお願いいたします。どうぞ、よろしくお願いいたします。