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令和6年産みかんの総括
まだ世の中には12月に収穫した晩生みかんが販売されてますが、忘れないうちに令和6年産の総括をしてみようと思います。
春から暑かった
昨今のみかんの花は例年よりも早く咲いていたために、私の中でそれが当たり前になってしまっていました。
一昨年までとは違うのは5月の割に暑すぎたことですね。
早く来た花に高温で花が咲いた感じで、かなり弱い花になっていたようです。
気温はそのまま夏になって行ったために、幼果でも弱く2回で終わるはずの生理落果がいつまでも続きました。
気温が高いということは樹勢が強くなる傾向になるために、ここでの反省点は炭水化物の補給とリン酸を中心として葉面散布をもっとやっておけば良かったです。
この時点で気づかなければいけなかった
生理落果が続いてることは、農家が顔を合わせると挨拶のように言っていたので、この時点で気づかなければいけませんでした。
「摘果は遅らせろ。最低でも例年通りにやっちゃいけない。」
やってしまった例年通りの摘果
何年前だったから忘れましたが、まだ熊本の園地をお借りしてみかんを栽培していた時に、自分の失敗からとんでもない小玉地獄を経験しました。
みかん農家ならその地獄具合が分かると思いますが、プラスになることなんて一つもありません。
小玉のために収穫に時間がかかり、人件費は爆上がり。
単価は1kg単位で設定されるために、個数は多くても収量は全く上がらない。
これだけで大赤字決定です。
その年の出荷が終わった時には、みかん栽培をやめてしまおうとか思ったくらいです。
私の中でこの年の経験は、「絶対に小玉地獄だけは嫌だ。あんなことはもうたくさんだ。」とトラウマレベルになっていました。
摘果不足なんて怠けて摘果しなかった自分の責任なんだから動けば良い。
それ以外の選択肢なんてない。と去年まで思っていたための、判断ミスですね。
いつまでも続く高温
真夏の最高気温が37度を超えることは昨今では当たり前のようになっています。
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一昨年も暑かったのですが、37度くらいまで上がったのは数日でした。
それが去年は夏の間ずっと37度を超えるくらいの気温が続き、雨が降る時はどさーっと降る。
こんなことを繰り返していると、みかんはどんどん割れていきます。
元から少なくなったみかんがもっと少なくなっていきます。
それに加えて、大変だったのが夜蛾の被害です。
夜温も下がらないために、考えられないくらい夜蛾の被害が多かったです。
産卵のためにみかんにやってきて、吸われた実は腐敗してしまいます。
梨畑などで黄色い蛍光灯が設置されてるのは、誘引灯ですね。
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10月から極早生の収穫を開始しますが、いつまでも着色が進まないために2週間ほど開始を遅らせました。
それでも上の写真の着色です。これではなかなか出荷もできないために、更に4日ほど収穫を遅らせました。
幸いにも極早生は減らす算段で半分ほど改植していたので、時期的な余裕はありましたが、食味はいつも通りには上がらなかったのは悔しい限りですが、それでもきちんと取引してくれる市場には感謝です。
まさか10月に「暑すぎるから休憩しましょう」とパートさんに指示するとは想像してませんでした。
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やっと本格的に収穫できる感じです
いつまでも肥大するみかん
極早生の収穫が本格的に始まってからは収穫は順調に早生まで進みました。
幸か不幸か雨は少ない、みかんは少ないから当然ですね。
しかしここでまた災難がやってきます。
「なんかさ、2週間前に見た時より、みかんが大きくなってない?」
もう11月ですよ。まさかねと思いましたが、そう考えるのが自然でした。
ツイッターでつぶやいてみると、「根が止まってないからですよ」
そうでした!八朔みたいなみかんができるのも当然の気候ですね・・・。
みかんの着色は紅葉と同じ作用なので着色遅れは高温が原因なのですが、根の動きが活発なままだからこそ、着色も遅くなるわけですね。
対策としては、植物調整剤のフィガロンや石灰硫黄合剤などのアルカリ資材の散布、弊社製品のミラックリンなどのメチオニン資材の散布が絶対に必要だったわけです。
大玉でも美味しい
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そんな災難続きの年でしたが、悪い事ばかりでもなかったです。
いつもなら大味になる2Lが納得できるほどの味に仕上がっていました。
収穫前に雨がなければ味が乗るとは言いますが、まさかここまでとは思いませんでした。
全ての関係者が混乱したであろう市場
全国でみかんの出荷が始まり、市場で価格が決定されていきますが、誰も想像していなかったほど価格は高騰しました。
今年は米騒動に始まり、全ての農産物の価格が高騰していますが、全ては夏からの天候の異常によるものです。
決して、資材費や人件費の高騰によるものではありません。
出荷が開始される前から今年のみかんの少なさは誰もが想像していましたが、まさかここまでというのが現実だったでしょう。
しかも、全ての人が欲しいであろう、Mサイズ以下のみかんがほとんど出てこない。
スーパーもLサイズ以上の大玉みかんを売らざるをえない状況でした。
みかん、りんご、柿は売り場に必ず置いておかなければいけない3大フルーツなので、高いから他のフルーツでというわけにもいかないのですが、まぁ、秋から冬にかけて他の物もないということもありますね。
令和7年産に向けて
年が明けて、最低気温は低いのですが、最高気温が冬だろか?と思うくらい上がってる日が多いです。
1月下旬から3月の気温の予想も高めで推移するようです。
となると、やはり6年産と同じことが起こる可能性はありますね。
いかに強い花にするのかが今できることなんでしょうね。