2022 日本ダービー 予想
【個別分析】
①アスクワイルドモア L
ほとんど肉体のみで構成されている馬で精神力や駆動が物足りない。前走1着に来たのは意外だったが、2着馬が横綱競馬をしておりそれをちょい差しという内容なので大きく評価する必要はない。鮮度も薄いし前走差しきりのストレスがずっしり来るタイミング。
②セイウンハーデス LC
挙動的に体力系の域を出ないが一応毎日杯で崩れていないだけの精神構造はある。ただ今回どうこうというレベルにはない。
③アスクビクターモア M
前走は逃げの形になっているが、溜め逃げで直線入り口から上位人気馬達の圧力を受けている。そこで投げ出していないので一定の精神力を認めても良いがあくまで補完程度。セカンドクラスの体力、駆動、精神力で全体的にまとまっているタイプ。自力で押し切れるほどの力強さは持っていない。
④マテンロウレオ LM
体力主体でそれ以外の要素はあまりないタイプ。ホープフルからのダウンでダンテスビューと鼻差というレベルなので単純に足りていない。
⑤ピースオブエイト LC
悪質な馬ではないと思うがパンチが足りない。この臨戦、脚質でダービーを迎えるのならもっと力強い前向きさがあって本番も逃げ切りをかますくらいの勢いが欲しい。ここまでの挙動を見ると弱い相手にそれなりの内容でそれなりの着差をつけて勝ってきたというものなので高い評価は出来ない。ここに向けて上げ幅を出すには前走逃げ切っているというのは厳しい。
⑥プラダリア M
この馬なりの完成度はあるが大きな駆動で突き動かされる事はないので新馬・未勝利戦で差し届かずの2着、道悪の2400では駆動よりも単純な完成度と基礎能力を求められるので圧勝というデビューからの3戦。挙動的に悪い所は別にないし、高鮮度持ちなのでストレスや疲労は別に気にならない。単純に能力が足りているなら来てもおかしくない。個人的に個体能力が皐月賞路線の馬達より上にあるとは思えないので高い評価はしないが青葉賞組だから即消しという訳ではない。
⑦オニャンコポン SM
セカンドクラス感は否めないが駆動の力強さは持っている。ホープフルの凡走は経験値的な酌量の余地(経験値薄が初めての厳しい流れで揉まれてアウト)があり、前走も別に大きく負けてはいない。上位の破綻があれば3着に顔を出しても別におかしくない立ち位置にはいる。
⑧ビーアストニッシド SL
重めの体力をしっかりと駆動させているタイプで、精神力はやや薄いので本質を問われるとパフォーマンスを上げづらい馬。スプリングSを逃げ切った後の前走が揉まれる競馬となり、まさに本質を問われる苦しいタイミング。デビューから使い詰めで来ており、1回も気を抜くことなくこの馬なりに頑張って来た流れの中での前走は流石に苦が大き過ぎて耐え切れず崩れてしまったという内容。
休み明けではないので完全にフレッシュな状態ではないが、前走でストレスと疲労を吐き出したことによって一息入って軽くリフレッシュな切り替えのタイミングとなる今回。前への位置取りを掛ければ開放感が生まれるし、こういうパワー系先行馬の激走がハマる舞台。
⑨ジャスティンパレス LC
肉体と精神構造の完成度はそれなりにあるが駆動は明確に物足りない。新馬からの2戦は少頭数の緩いレースで、そこでの先行勝ちはG1での駆動の評価には繋がらない。皐月よりはダービー向きのタイプだし、ドウデュース同様前への位置取りがハマるタイミングだがパンチは足りていない。
⑩マテンロウオリオン CL
駆動の後押しがやや物足りないが精神構造は良質なタイプ。1400外差し切り→格上げシンザン記念前受けの4人気1着がやはり精神力あってこその良い内容。今回はマイル経由というのを活かして前に行くのが必要条件にはなるが、そこで耐えるだけの資質はある。あとは物理的な体力さえ保てば好走してもおかしくない馬質。リズムのある状態で異端性を持っての臨戦は悪くない。
⑪ジャスティンロック LM
京都2歳の1着と弥生の4着がこの馬の能力のライン。体力はあるので前走より少しでも前に行ければ可能性はある。ただ上述の能力のラインでどこまでやれるか。パレスよりはこっちかなというくらいの感覚。
⑫ダノンベルーガ LS
精神力はあまり保有しておらず、フィジカル主体で構成されているパワータイプ。G1で苦を味わった後のダウンで圧勝するのがこの馬の本質と見ている。
こういうタイプでもこなせるのがダービーという舞台なのだが、この馬の場合は共同通信杯のように圧力の外から単独で差す方が良さが活きるタイプで、強気に出て行ってレースのド中心で立ち振る舞ってしまうと精神面の脆さが仇になりやすい。仮に今回差しに回ったとしてもそのショックはダービーという舞台ではハマりづらく、ゴール前までレースの中心で善戦はするが最後垂れてしまうイメージ。
⑬ドウデュース M(SC)
皐月追い込み届かずからの延長ダービーで前に行く位置取りを残しつつ、致命的なストレスや疲労を抱えていない無難な臨戦。体力、駆動、精神力どれもそれなりに高いレベルで保有しており、良く言えばバランス、悪く言えばこじんまりというタイプ。バランスが良い分、ダービーという舞台をがっつりパワーで押し切るような歪な特化型のタイプには見えていないというのが個人的な懸念点。ここも無難に2着くらいにまとめておきながら、馬質のバランスの良さを活かして古馬になってもちょこちょこ活躍する方がイメージとしては合う。
⑭デシエルト L(S)
前走投げ出し過ぎている。スタート後に躓いたというのはあるがそれが直線での挙動に全て繋がっているという訳ではない。この馬の精神構造が基本的に脆いという認識で問題ない。逃げ切った後だった前走よりは今回の方が自身のタイミング的に良いし、こういうパワータイプの逃げ先行馬はレース質にも合う。軽い巻き返しはあると思うが、やはり前走の投げ出し方がG1を好走出来るレベルに達している馬の挙動ではない。
⑮ジオグリフ CL
肉体面の完成度が高いので体力系に見えやすいが、本質的には精神力主導で充実した肉体を引っ張っているというタイプ。朝日杯は駆動の後押しが足りないながらも悪質さは見せない良い5着。次の共同通信杯が体力主導ならもう少しスカッとしたパフォーマンスになってもおかしくなかったが、この煮え切らなさが精神力系らしさ、精神力での引っ張りがまだ不十分という内容。そこから人気を落としての格上げ皐月賞で見事に格感を見せつける1着。5人気1着の激走の形だが内容的にエネルギーを振り絞っての僅差勝ちではなく、イメージとしては格感や本質を見せつける圧勝。
ダービーという舞台で求められるフィジカル面のクオリティはクリアしているし、前走激走のストレスがそこまで気にならないのであれば素直にこの馬の格を評価しても良いと思う。
(メモ)精神力は肉体を「引っ張る」、駆動は肉体を「突き動かす」
→精神力が弱い馬は本質を求められると前から押さえつけられて「頭打ち」になって凡走、
駆動が足りない馬は物理的に遅れたり、届かずに凡走。
⑯キラーアビリティ M(LS)
精神力の薄いまとまり系。グランアレグリアやコントレイルのように格で抜けている馬は相手に対して気後れしないので休み明けの肉体面のフレッシュさが最大限活きる。ただこの馬や桜花賞のラブリイユアアイズのように、そういう格的に優位ではない馬の休み明けはG1だと尚更レースレベルの厳しさが精神面への衝撃になってしまう。前走は急仕上げでイマイチだったという話があるが、仮に今回が100%のデキだとしても能力のラインの判定として上位には置けない。リズム的に終わっているというほどではないので休み明けのセントライト記念あたりの挙動を見てから細かい判断をしたい。
⑰ロードレゼル LM
体力主体でまとまっているタイプ。ここまでの消耗が少なく体力的にはこなせる条件だが駆動とかそもそもの能力が物足りない。大逃げで体力だけを活かしたりするような形を取れれば可能性はあるがそもそも重賞級の相手や皐月賞経由の馬達より前に行く事が難しい。
⑱イクイノックス LM量
本質の部分に力強い駆動や前向きさはなく、完成度の優位性から生まれる「量」を効かせて自身より弱い相手を圧倒していきたいタイプ。前走は緩い流れで本質を問われにくくなった事でこの馬なりの量を使えたがジオグリフには完敗。底が見えてしまったという事実は量系にとって痛い。本質的にパワー不足だとしても皐月賞2着の完成度はあるのでその優位性のリードをどこまで守り切れるかという一戦。
【評価】
◎ジオグリフ
◯ドウデュース
▲ビーアストニッシド
△イクイノックス
×ダノンベルーガ
別路線組にパンチのある馬がいなかったので皐月賞組の序列付けを全力でという予想になりました。
臨戦的にドウデュースが無難な存在なんだと思いますが個人的には今ひとつパンチに欠けるので◯止まり。
×ダノンベルーガは延長でノーショックののっぺりとした臨戦で主役の立場となるとどうしても精神構造の足りなさが目につくので皐月上位4頭の中では1番下に。そういうものを凌駕するほどの能力なら前走の4着が物足りない。
△イクイノックスは積極的に買いたいタイプでも臨戦でもないですが、他が破綻を起こすなら無難にまとめる事は出来るラインかなという事で押さえ。
臨戦的にもタイプ的にもこのタイミングでこそ!というのが▲ビーアストニッシド。買って良いタイミングだと思いますが◎を打つほどの馬質ではないので◯ドウデュースと△イクイノックスの間に差し込む形に留めました。
そして◎ジオグリフ。皐月賞9人気1着で挙動的にも明確に激走だったアルアイン(当時CS)がダービーで4人気5着と大崩れせず。同じような精神力系でも格と体力に寄っているのがジオグリフ。皐月の挙動的にも余裕があり、人気据え置きで福永が巧くダノンベルーガを見ながら運ぶ形ならストレスでの破綻はないと踏みました。元々皐月よりダービー向きと評価して来た馬で、皐月賞は展開が緩んだ事でたまたま勝ちを拾えてしまったくらいの感覚、ドウデュースに◎を打てないのであればこの馬の格に委ねてみようと思います。