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今台湾では

台湾旅行では、現地の人と話す機会が幾度となくあった。タクシーで、台北101の展望台の待ち時間で、屋台のおばちゃんたちなど。

実際に住んでいる人が何を思っているのか、聴いてみないと分からない。
私と台湾の人を繋げるの「言語」であり、その背景に「中国」の存在を共有しているということ。

実際「どこで勉強したの?」「北京」というと、「あー、やっぱねー。ちょっと違うなあと思ったわけよ、アクセントが」とよく言われた。どこかで自分が中国フレーバーを背負って台湾にきた身なんだと実感する。

そんな中で、印象に残ったエピソードがあったので、今日はそんな話。

「大きな国で勉強したのはいいことだ」byタクシーの運転手さん

「あんた何で中国語喋れるの?」とタクシーの運転手さんに聞かれ「北京で勉強したんです」と答える。

するとこう言われた。「ああ、それは良かったね」と。そうなの?まーまー大変だったんすけど(笑)。

「いやー、あん時は思わなかったけど、今こうして旅行に来てて、当時台湾で勉強すればよかったー!と思うんです。こんなイイ所だなんて知らなかった!」と、ほのかに台湾LOVEを匂わせる返しをしたら、意外にもこうきた。

「台湾じゃなくて、大きな国で勉強したのはいいことだよ。台湾は小さいから、語学以外にそんなに学べることはたくさんないよ。あなたが大陸で学べたものは大きかったと思うよ」

と。ああ、留学してから既に30年近く経っていますが、今でも大変だったことが一瞬で蘇るくらいしんどいこともあったのですが、こう言われるとは思わなんだし、同じ中華圏の台湾の人からそう言われたら俄然ファイトが沸いてきた。

こういう赤ってやっぱ中華!と思う

「台湾は大丈夫」byカナダ在住一時帰国中の台湾人女性

日本に住む側から台湾を見ると「香港みたいにならないかな」とか「中国との関係どうだろう」とうすらぼんやり思ったりする。

香港が大好きで1997年の返還と共に降り立ち、英国の雰囲気と中華の雰囲気がごった煮になった熱気の渦に巻かれるように定住した。香港はずっと自由で雑雑してガッツ溢れる場所として存在し続けるものだと思い込んでいた。

返還にあたって、香港は中国国内とは明確に線引きされた表現や言論などの「自由」を、少なくとも50年間は「一国二制度」の下に保持すると約束された、筈。

が、折り返しの25年が過ぎた現在はどうだろう?場所の雰囲気とはこうも変わるのかと思う程、息苦しそうな様子が漏れ聞こえてくる現在。

だから余計、台湾のことを、台湾の人はどう思ってるんだろうと気になっていた。

台北101にて

台北101の展望台

展望台のタワーに登ろうと、1番乗りで駆け付けたら、既に並んでいた女性がいたので2番乗り。暇なので話しかけたら流暢な英語。慌てて「すんません、英語ヘタクソで・・」と謝って中国語に変えてもらう。

聞くと、台湾人ではあるけれど現在はカナダ在住。台北に家があり一時帰国中とのこと。カナダでは石油関連の仕事をしており、台北でも会社を経営しているという優秀な方。

ちなみに私は日本から来た旅行客。お互い外から台湾を見る同士でまたとない機会。台湾をどう思っているのか、純粋に聞きかった。

政治と宗教の話はタブーとよくいうけれど、私は誰の味方でもなければ、誰かの思想を変えようという思いも皆無。ただただ、その人の考えを知りたいという意図で聞いてみた。

「台湾はこれからどうなる?」と。

そして「その人」の答えは意外だった。(これが台湾の総意ではないことを強調すべく「その人」にしました)

「台湾は大丈夫。政府がしっかりしているから。ほら、コロナの時も台湾の仕切り、素晴らしかったでしょ。頭の良い政治家がいて、いつも台湾にとってベストは何かを常に考えているから、絶対にこのままでいられると思う」

確かに、あの混乱の中、台湾のデジタル担当大臣、オードリー・タン氏の采配たるや、日本の私でも羨ましくなるくらい素晴らしかった。その頃我が家には何億円かけたのか疑惑の布マスクが、ぬるっと自宅のポストに入っていて、誰も付けたくないとゴネていたっけ。

それは普段カナダに住んでいて、そこから見ているからこその意見かもしれないし、本当に他の人も同じように思っているのかは分からない。

きっと100人に聞いたら100通りの意見があるだろうから、これ以外の意見も勿論あると思う。けれど、彼女の意見はこうだった。

しかも、自信たっぷりに。

台湾の人、どんな人でも自分の思うことをパッと伝えてくれたのが印象的。それは決して外国からのお客様との会話だからといって、なんとなく合わせてくれた、ではなく、真正面から受け止めて、真っすぐな言葉を返してくれ、それは好奇心むき出しの私とって、非常に気持ちのよいやり取りだった。

逆の立場だったらどうだろう。いつか、道行く外国の人に「日本これからダイジョウブ?」って聞かれたらなんて答えよう、って今から答え考えておかなきゃ、とちょっと思ったり。

9月8日 サカシタカオリ

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