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育ち②
2歳の頃に我が家は引っ越しをした。障がい児がいることを理由に、住んでいた戸建て賃貸を追い出されたらしい。さすが昭和!不適切!!
父が奮起して購入した新築マンションで私の社会は大きく広がった。
同じ年頃の近所の子がたくさんいて、親しくなった近所のおばちゃんおばあちゃんが我が家の事情を察して何かと世話をやいてくれる。
毎日1人でマンション内の公園に行き、そこにいる子と遊び、昼食と昼寝のあとまた公園か誰かの家に行くのが日課だった。
雨の日も、カッパを着て公園で1人遊んだ。やることがなくて、公園のパンダとリスの遊具にひたすら泥を塗っていたらどこかのおじさんに怒られた。補助輪付きの自転車で、一緒に遊んでいた小学生についていったものの途中ではぐれて、これまたどこかのおじさんに交番に連れていかれた。公園で遊んでいた初対面の子の家に上がり込んでいたら夜になり、警察に捜索される騒ぎもあった。
たまに家にいる時は、母がひらがなの練習をさせてくれた。ノートに綺麗に書くと喜ぶ母を見て、一生懸命に何度も何度も字を書いた。
父は休日には、動物園や海、遊園地やデパートなどに度々連れていってくれた。冬には2人でスキー旅行をしたこともある。平日に1人さみしい思いをしていることに父だけは気づいてくれていたのだ。父はきっと妹より私のことが大切。幼心にそう信じられた。
こだわりが強く気難しいところもある父だが、父の愛情があってこそ私がある。今も年老いた父のことが大好きだ。