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【マンガ感想文3】故李登輝氏と台湾を知るためのマンガ「台湾論 新ゴーマニズム宣言」
台湾民主化の父を呼ばれた、李登輝元総統が先日亡くなった。そんな李登輝氏と台湾を知る上で良書と思うのが、小林よしのり氏の「台湾論 新ゴーマニズム宣言SPECIAL」である。日本統治時代から戦後の中国国民党による支配のエピソード、2000年当時の台湾の有力者のインタビューが書かれている。
台湾は優良企業の躍進による経済成長や、新型コロナの対策の迅速さから最近注目されている。しかしほんの30年前までは国民党による圧政によって苦しめられていた。1987年の蒋経国の死去で李氏が代理総統、そして総統に選出されたことでようやく民主化への道が歩まれた。
李氏は日本統治時代に初等教育を受け、のちに京都大学に入学している。22歳に学徒出陣として陸軍で戦争にも参加している。農業のスペシャリストであっただけに国民党の蒋経国の要請を受けて国務大臣に任命される。本省人としては異例の抜擢であった(本省人とは国民党が台湾に来る前から住んでいた人たちを示す。ちなみに外省人は国民党と一緒に来た人たち)。
本書の中で日本統治時代を賛美する人たちが多く登場する(ちょっと誉めすぎじゃないとすら思う)。李氏も自らを日本人と言うほどの親日家であった。実際戦前の日本は台湾のインフラや教育制度、法制度の設立に多大な労力を払った。特に八田與一の設計した、嘉南大圳のダムは当時アジア最大のダムであった。
小林よしのり氏のゴー宣は読んでいると、ナショナリズムみたいなものが沸沸と湧いてきて、ときにやや危険でもある。私も20歳くらいのときに戦争論を読んでめちゃくちゃ熱くなって、少々危険な愛国者になった感はある。私が子どもの頃はやたらと自虐史観が流行っていたからかもしれない。
ただこれだけ賛美されるのは、国民党が台湾を占拠したあとが酷すぎたからだと正直思う。敗戦により日本人が台湾から去り、国民党が来たとき、「犬が去り、豚が来た」と揶揄された。犬は日本人、豚は国民党の中国人である。中国人は無知で横暴で強欲であった。蒋介石は台湾の資産を丸ごと自分のものにした。この状態が程度の差はあれど、李氏が総統に就任するまで続いたのである。
この本が描かれたのは20年前の2000年であるが、当時から中国共産党の脅威は強かった。香港も中国共産党の支配下に置かれた現在は、もっと強いだろう。もし台湾を中国共産党が支配したら、次のターゲットは日本かもしれない。
台湾はとても親日的な国で、東日本大震災や新型コロナの時もすぐに支援を差し伸べてくれた。もちろん台湾としては東アジアの有力国である日本と手を組み中国を牽制したいという思いはあるだろうが、それは日本とて同じであろう。今こそもっと台湾との関係を強化し、中国の脅威に備えるべきだと思う。