映画感想文【ロケットマン】
掛け値なしの気持ちで、真剣に。
そうありたいと思うなら、そうなる。
天は自ら助く者を助く、とも言うように。
私達が個々に見る世界が、
ちょっとずつ噛み合わないのは、
その個々の欲求が、ちょっとずつ違うからだと思う。
そのような話を随分前にした時、
それなら、世界中の人々が幸せなはずではないか?
なぜそうじゃないんだ?
と問うてくれた人がいて、
掛け値なしの気持ちで、真剣に。
幸せになりたいと思う人は、そういないのだと気づかされた。
ついてなくて、不幸な、そんな自分が好きだ。
そんな自分だから、許せることがある。
そんな自分なら、他人を許せるし、愛せる。
私達は愛されたいと願っている。
と、思い込んでいる。
きっと愛したいのだと思う。
誰かに愛されなくて、辛い時には、
どうして愛してくれないのだ!
と、思うより、
どうして愛させてくれないのだ!
と、思ってみると府に落ちることが多い。
愛は溢れてくる。
自分のどこからかいつも。
私達はその注ぎ先を探している。
世界のどこにか、いつも。
自分から溢れるもので、世界を満たしてみたいと願っている。
ピアノを弾くことや、歌を歌うこと、
そばにいる人に微笑みかけることで、
世界が少しずつ、自分で満たされていく。
全てのことが、自分のことになったら、
きっと寂しくない。
寂しくないなら、幸せだ。
私達の世界はこれからも、きっとずっと、ちょっとずつ噛み合わない。
なので、私達はこれからも、きっとずっと、満たされない。
だからずっと、私達は掛け値なしの気持ちで、真剣に。そうありたいと思い続けることになる。
もう、いいや、では終わらない。
もう、いいや、は途中。
思い続けるのに疲れたときの休憩場所に過ぎない。
旅は長い。果てしなく長い。
私達の体が一つでは足りない。
たくさんの身体を使って、思い続ける。
なので、そうなる。
私達はいつも、自らありたいと思うように、ある。
【よくなりたい】と、彼が言った。
それがこの映画の全てだと思います。