サカナサバキ教室開催に至るきっかけとは?
★現場から見える、お客様の意外なひとこと★
以前にもお話しましたが、週3回、ある現場(関西では有名なスーパーの水産部門)にてお手伝いをさせていただいています。
作業場から鮮魚売場の一部が丸見えの状態で、しかもガラス戸など仕切るものが何もないので、対面で丸のままの魚を販売している時は、自然にお客様から注文を受ける事が多いです。
中には、刺身コーナーに陳列し、パッケージのシールにも
「この商品は生で食べられます」「生食用」と表示があるにも関わらず、
「兄ぃちゃん、この商品って刺身で食べられるん?」
と、思わずツッコミ返したくなる質問をされるお客様もいらっしゃいます。
最近では、「釜揚げしらす」のパックを持ってこられ、
「すみません、これって、洗わないと食べられないよね?」
と、にっこり微笑んで聞いてこられたご年配の方もいらっしゃいました。
ホント、つくづく水産物への関心の低さに危機感を覚えざるを得ません。
ところで、私がサカナサバキ教室をやろう!と思ったのも、これに似た経験を過去、受けたからなのです。
遡ること20年ぐらい前、百貨店の水産テナント勤務。その時はちょうどお昼で、他のスタッフは食事休憩に出かけ、私が一人で店番をしておりました。
すると、30代後半〜40代前半ぐらいとお見受けした若奥様が、
「このお魚って、目や口、ヒレらしきものも無いけど、どうやって泳いでいるのかしら?」
とお尋ねになられました。
手に持っておられたのは、サワラの切り身が入ったパック。
私は一瞬、「えっ!」と声を上げそうになりました。
明らかにサワラの「切り身」が1枚入ったパックです。
(この人、店に私が一人だけなのをいいことに、からかってるんや!)
と思ったのですが、彼女の表情を見ると、どうやら真剣で、真面目に聞いてくれている!
そう考えて、私は彼女を店舗の端に誘導し、冷蔵庫から丸のままのサワラを持ち出して、小声で
「お客様、大変失礼なのですが、今、お手にされておられる魚はサワラと申しまして、(左手で持っている丸のサワラの胴体真ん中部分を右手で指さしながら)
ちょうどこの部分になります。(その後、目や口、ヒレを説明)」
と解説しました。
するとその方、顔を赤らめて「ご丁寧に教えていただいてありがとう」とおっしゃり、切り身パックを陳列ケースに戻して帰られたのでした。
(後日、部門責任者等にも話しましたが、そんな話ってあるわけないやろ!お前は嘘が下手すぎる!と笑われましたが・・・・)
この出来事は非常に衝撃的でありました。
と同時に、当時でも消費、売上が下降気味であった水産部門に、益々暗雲が漂うのでは?なんとかせなアカン!と考えるきっかけとなったのです。
周りを海に囲まれた日本は、海の幸に恵まれ、キレイかそうでは無いかは別にしても、丸の魚を自宅で捌いたり、(匂いとかの問題で)家で捌かなくても、近所の魚屋でそのままの魚を調理してもらって持って帰り、身とアラを料理しおかずにしたものです。
今や魚屋さんも数える程になりました。
思えば、どこの小売量販店行っても同じ種類の魚、しかも加工されているものばかりが並んでおり、丸のままの魚なんて売っているところは稀です。
そりゃ、見る機会もなければ(水族館ぐらいでしょうか?)知らんはずです。
ならば、私が丸のままの魚を見せる場を、そして捌けられる場を設ければいいじゃん!
その思いが胸の中にくすぶり続け、大きな火柱となるのに、そう時間はかからなかったのでした。
さて、また現場でどんな質問が飛んでくるんだろうか?
料理方法とかもしっかり勉強してちゃんと提案できるようにしなきゃ!
おしまい。
(長文、大変失礼致しました)