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【ADVゲームレビュー】レイトン ミステリージャーニー カトリーエイルと大富豪の陰謀 / ニンテンドー3DS (2017)

レイトン ミステリージャーニー カトリーエイルと大富豪の陰謀 / ニンテンドー3DS

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カトリーエイル・レイトンを主人公にしたレイトン・新シリーズの1作目。

レイトンシリーズについては、第1シリーズの「レイトン教授と不思議な町」および逆転裁判とのコラボレーション作「レイトン教授VS逆転裁判」をプレイしていたのだけれど、新シリーズは行方不明となった父・レイトン教授を探すためにカトリーが探偵社を設立するということで、更にミステリー色が強まるのかな、と気になっていた作品。
Nintendo SwitchでDX版も発表されているが、発売元であるレベルファイブがニンテンドー3DSのダウンロードソフトのセールを行っていたので、良い機会だと思いそちらを購入した。

ファンタジー色の強い壮大なストーリーがあったレイトン教授シリーズとは異なり、喋る犬、シャーロと、助手のノアとともに、探偵社に舞い込む日常的な事件を解決していくオムニバス形式。
町中に隠されたナゾを解きながら、事件のカギとなる6つのヒントを集めて、カトリーのヒラメキを導くというのが大まかなゲームのルールである。

正直な感想として、ストーリーについてはいささかスケールダウンした印象。
コンセプトが違う、ということだとは思うのだが、小規模の事件をテンポ良く解決することに主眼が置かれているせいで、続きがあまり気にならない。
"オトナなナゾトキ"というコピー文とは裏腹、設定を聞いただけで事件のあらましがわかってしまうチュートリアルのような事件ばかりで、レイトンらしさが出てきたのは、全12章のうち、最後の1章だけだった。

また、ナゾトキについても監修をしていた多湖輝氏が亡くなってしまった影響が相当に大きかったのか、問題がやたらまどろっこしい。
数学や英語がキーになる問題も多く、不必要に難易度が高くなっているものもある。
それが"オトナなナゾトキ"だというのであれば、ストーリーの難易度も上げるべきで、子供向けのシナリオと、子供には解けないナゾトキのアンバランスが気になってしまうのだ。
わかりきったストーリーの続きを見るために、面倒なナゾトキをする、スマホゲームにありがちな作業ゲームになってしまった感。
シリーズ人気は根強いだけに、次回作では復活を期待したい。


【注意】ここから、ネタバレ強め。


"大富豪の陰謀"というタイトルにもある通り、チュートリアル的な1章が終わると、7人の富豪たちからの依頼を次々と解決していくのがメインストーリー。
その後、アスポワロ警部、ノア、カトリーの主要キャラクターを掘り下げるパートを挟み、ラストでいよいよ"大富豪の陰謀"の意味が分かる流れだ。
オープニングで、シャーロが自分が喋れる謎を解いてもらうようカトリーに依頼をしてくるので、最終章はシャーロ絡みの話になるのかと思ったが、その秘密はヒントすら提示されず、次回作以降に持ち越し。
失踪したレイトン教授の謎も、エンディングで少し含みを持たせるだけで終わってしまった。
このあたりは、カトリーシリーズで少しずつ解き明かすロングパスなのだろうが、映画「名探偵ピカチュウ」と同じオチでないことを祈っている。

さて、"大富豪の陰謀"である。
12章での、ダークなテイストがあるミステリーアドベンチャーの出来栄えは、さすがであった。
黒幕の意外性も、レイトンでそれをやるか、という驚きがあり、それまでの11章、我慢した甲斐があったと思う。

一方で、それだったら、もっと伏線が張れたのでは、とも思わずにはいられない。
7人の富豪たちからの依頼は、それぞれに繋がりが感じられず、未解決でもやもやするようなヒントも残らない。
だからこそ単調で退屈なのだが、それぞれに最終章に繋がる含みを持たせることができていれば、ストーリーを前に進める楽しさは改善されていたのではないかと。

それは、12章の黒幕もしかりで、ゲームをはじめからやり直して、会話や行動の中に、実は伏線になっていた部分を探していく、というミステリーの醍醐味が感じられない。
原則として悪者はいない、というレイトンシリーズの世界観が制約となっているのは仕方ないものの、どうも深みが出てこないのだ。

いずれにしても、このゲームの着地がどこにあるのかわからないまま、単発的にゲームを進めるしかないのが、本作を作業ゲームにしてしまった最大の要因。
強いているなら、シャーロの謎の解明やレイトン教授を見つけ出すことがそれになり得たのだが、ほったらかしで探偵仕事をしてしまうので、かえってストレスが溜まる。
ひとつひとつの事件が、実は裏で繋がっていた!というカタルシスもなし。
これらが後々、シリーズ全体に跨る大きな伏線になっているのがわかれば手のひら返しをすることになるのだろうけど、相応に力を入れて制作された人気シリーズの最新作としてプレイするには、物足りなかったと言わざるを得ないか。

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