「ギャ男が選ぶ名盤BEST50」にかこつけて好きなCDを5枚ずつ語る(41位~45位)
3月末までの募集期限となっている「ギャ男が選ぶ名盤BEST50」を集めて1冊の本にするという企画。
期日を忘れてしまいそうなギャ男のみなさんにリマインドをするぞ、と関係者でもないのに妙な使命感ではじめた個人ランキングの発表会、第二回である。
前置きを長々と書いてしまうと、後が苦しくなるので、さくっと本題に入らせていただく。
第45位
☆ノ□ / Da'vidノ使徒:aL(1998)
Da'vidノ使徒:aLのミニアルバム。
ピエトロのヘタウマハイトーンと、ミサのおどろおどろしい低音でのツインヴォーカル編成は、兎にも角にもインパクト絶大であった。
しかも、サウンド面ではミサ&エルゼによるツインベースが、重低音で歌う新境地的なアンサンブルを開拓しており、どこを切り取っても個性的。
歌も演奏も決して上手くはないのだが、このメルヘン・ダークな世界観は中毒性の高いピエトロとミサのコーラスワークでなければハマらなかったと思うし、拙さを補って余りある強烈なヴィジュアルは、彼らを唯一無二の存在に押し上げていた。
可愛いと不気味は紙一重。
リリースから20年以上経った今でも、彼らの代わりは見当たらない。
第44位
HOME / DaizyStripper(2017)
DaizyStripperにとって、7枚目のフルアルバム。
結成10周年というタイミングで送り込まれた作品は、タイトル通り、彼らが"帰るべき場所"を示した集大成的な1枚に。
四季にちなんで4種類同時でのリリースというのも象徴的なのだが、バラエティに溢れ、季節の情緒を活かしたワビサビのある楽曲たちは、時に優しく、時に激しく、心を揺さぶってくるのである。
中でも、表題曲である「HOME」は、クオリティの高い楽曲が揃えられた本作において、この曲のためのアルバムであったと思わせるほどの説得力を持っていて、Vo.夕霧が紡ぐ等身大の歌詞が、時間の積み重ねという重みを伴って染み渡る。
素朴なメロディに、ここまで重み、深みを感じるとは。
第43位
六花星 / 彩冷える(2007)
アヤビエから彩冷えるに。
リーダーであった涼平が脱退となり、後任ギタリストとしてex-そろばんの夢人が加入するというセンセーショナルな出来事も、今は昔のこと。
新体制での試行錯誤が続いたところで、ひとつの形が出来上がったな、という手ごたえがあったのがこのミニアルバムである。
アルバムとしての流れや、バラエティ性を考え抜いての名盤は数多くあれ、純粋に良い曲ばかりを集めた結果が名盤になるケースは、名盤として紹介される作品が、セールス的に大きいベストアルバムより、作り込んだオリジナルアルバムに多いことが裏付けているように、案外少ないのではないかと思う。
だが、彼らはそれをやりのけてしまった。
1曲1曲、とにかくインパクトの強い楽曲をぶちこんで、曲の良さという武器だけで強引にまとめきる。
収録曲の全6曲、サイコロですべて6を出すぐらいの奇跡的なバランスで、たくさんの化学反応を生み出した1枚。
第42位
GEMINI / Alice Nine(2011)
アリス九號.が、Alice Nine名義で活動していた時期にリリースしたフルアルバム。
既に相応の人気を博していた彼らだが、当時はどうしても"見た目先行"的なレッテルを貼られがちで、音楽については正当な評価を得られていなかったように思う。
それを認識していたか、していなかったかは不明であるも、それまでのポップロック的なスタイルから一転して、プログレッシブな作風に方向転換。
La'cryma Christiにも通ずるスケールの大きい楽曲構成と緻密なアンサンブルにより、先入観に縛られていたリスナーを実力でねじ伏せ、納得させてしまったのだ。
歌唱力も含めた演奏スキルも大幅に向上。
万が一、未だに彼らを"見た目先行"バンドとして聴かず嫌いしている人がいるのであれば、騙されたと思って、1度耳にしておくべき名盤である。
第41位
動かなくなるまで、好きでいて。 / メガマソ(2013)
メジャーデビュー以降、控えめになっていた感のある涼平節が帰ってきた。
メガマソによる、コンセプトフルアルバム。
死んでしまった少年の再生を願う少女が、様々なスポットに行き、様々な登場人物に出会い、"死"に対して向き合っていくという物語を、音楽に乗せて綴っていくのである。
舞台となる場所の設定も綿密に考えられており、2ndミニアルバムの「櫂の目塔の属領」や、アヤビエ時代に発表された「鉄の島」を好きだったリスナーであれば、間違いなくのめり込んで、あの頃を思い返すこと請け合いだ。
コミカルだったり、シリアスだったり、場面転換を巧みに用いることでアルバムとしての流れを構築する手法も見事。
Vo.インザーギの圧巻の表現力も効いていて、ストーリーへの没入感も十分に堪能できるかと。
残すところは、あと8回。
3月までにやりきれるだろうか。
次は、BEST40に突入である。