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【ADVゲームレビュー】STEINS;GATE 比翼恋理のだーりん/STEINS;GATE 線形拘束のフェノグラム/STEINS;GATE 0

なんとなくやってきたゲームのレビューだが、少し書き方を変えることにした。
先日、安眠妨害水族館に関するアンケートをTwitterでとってみたのだけれど、ブログを見る理由としては、「新しいものに出会う」というよりも、「既に触れた作品の評価や感想を知りたい」のほうが大きく上回っている。
もちろん、音楽CDを前提としたアンケートなので、ゲームや本のレビューとでは考え方が異なるという人もいるのだろうが、ここで取り扱うゲームの大半が古いゲームだということを踏まえれば、感想の共有を主体においても問題なかろうと。

そんなわけで、これまでネタバレなし、1記事に3本、というフォーマットで行ってきたゲームのレビューは、ネタバレあり(肝の部分への配慮はするけど)、1記事に1本、という形式でやっていくことにする。

といっても、今回紹介するのは前回の記事でお伝えした通り、「STEINS;GATE」のスピンオフ作品3本。
これらは、2019年にNintendo Switchに移植される際に「STEINS;GATE ダイバージェンシズ アソート」として1本のソフトにまとめられているので、一緒に紹介したほうがいいかな、と。


STEINS;GATE 比翼恋理のだーりん / PlayStation3 (2012)

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ダブルパック版と、シュタゲ本編単体が同じぐらいの値段で、どうせだったらとダブルパック版を購入したため、こちらも付属されていた形。
わかってはいたけれど、ギャルゲー的な要素が強い。
本編との関連性も低く、プレイしなくても影響はなし。
というわけで、シュタゲ関連のコンテンツは網羅的にやる、というポリシーでもなければ、無理に手を出さなくてもよかったかな。

ただし、トゥルーエンド的なシナリオが、まゆりルートだったのは良かったのかと。
映像化作品の影響で、紅莉栖がヒロインの座を不動のものとしているイメージはあれど、ダブルヒロインが機能してこそ活きるシナリオも多いので、本編のトゥルーエンドが紅莉栖寄りだった分、外伝はまゆり、という配分でバランスがとられた感はある。
続編である「STEINS;GATE 0」で、更にヒロインとしての存在感を増すだけに、改めてダブルヒロインであることを意識付けできたのは、次につながったと捉えられなくもないのだろう。

ゲーム性としては一応分岐はあるものの、まゆりルートを除き、Dメールの内容を何にするかですべてが決まるため、実質的に1本道。
入手難易度の高いCGも特になく、あくまでシナリオがメインといったところ。
それはいいとして、僕の理解力の問題なのかもしれないが、ルートによってはDメールとの因果関係が不明な過去改変となっているのがもったいない。
萌郁ルートにおける、"新作ガジェットの作成を中止した分、バンドで資金稼ぎをしようとした"ぐらいの説明でもいいから、何らかの理由付けがいずれのシナリオにもあれば、個人的にはもっと納得感が高まっていたのかもしれない。


STEINS;GATE 線形拘束のフェノグラム / PlayStation3 (2013)

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ライターが複数参加したオムニバス形式。
ラボメン8人と、天王寺親子を加えた10人の視点でのシナリオがそれぞれ収録されている。
特定のシナリオをプレイすると、他のシナリオが解放される、という仕様で、ある程度のプレイ順は示されているのだが、それぞれが世界線も時間軸もバラバラなので、実態として、この順序にあまり意味はなかったような。

「比翼恋理のだーりん」以上に分岐の要素はなく、シナリオはすべて1本道。
区別に意味はないのだけれど、アドベンチャーゲームというより、サウンドノベルに近いのかな。
とはいえ、日常がいつの間にかシリアスな空気に、という独特の雰囲気が色濃く出ているので、同じファンディスクでも、こちらのほうが「STEINS;GATE」だな、と強く思えるのでは。
岡部以外の視点でのプレイは新鮮味があり、紅莉栖やるかがタイムリープするストーリーも、新しい解釈が生まれて興味深い。
その中にある天王寺編のコミカルな作風は、ラボメンではないからこそのハズシとも言え、息抜きにもちょうどよいタイミングだった。

全体的には、やや尻すぼみ感があっただろうか。
序盤に登場する岡部編や紅莉栖編などは、本編の補完を促すものとも捉えられ、これらのシナリオでの期待感が高すぎた、というのが本音。
最後に読むことができる、鳳凰院編および綯編が、本編と直接関係のない外伝的な内容で終わってしまうため、シナリオとして面白くないということではないのだけれど、どうしても消化不良感が残る。
分岐がないことによるプレイ時間の短さも手伝って、少しヤマ場なしに呆気なくクリアしてしまった感覚だった。


STEINS;GATE 0 / PlayStation3 (2015)

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"β世界線で岡部倫太郎が牧瀬紅莉栖を救うのを諦めたら"という世界での物語が描かれた、「STEINS;GATE」の正当な続編。
"1"と"0"をもって、STEINS;GATEの世界はゲーム上では完結した。
上記の世界線の前提から、シュタインズ・ゲートに辿り着かない、IFの世界を描いているのかと思っていたのだが、それはブラフ。
ネタバレになってしまうが、実際は"β世界線で岡部倫太郎が牧瀬紅莉栖救出を失敗して戻ってきてから、まゆりが岡部をビンタして鳳凰院凶真を復活させるまで"という、本編ではたった2、3分の出来事の裏側にある話である。

電話に出るか出ないか、といった選択によりシナリオが分岐するシステムも復活。
しかも、メインルートから枝分かれのように分岐するのみだった本編の分岐パターンを大きく超えて、序盤の段階から大きくストーリーが異なっていく。
そのため、ひとつのルートシナリオを見るだけでは、そこまで長時間ではないのだが、すべてのシナリオを見る前提では、かなりのボリュームが楽しめる。
移動する時間軸の幅が大きく広がったり、敵対する勢力が複数あったりと、舞台設定はかなり複雑になった印象で、短期間に詰め込んだり、効率的にプレイしようとセーブポイントから別ルートに入っていったりすると、どれがどのルートで起こった出来事だったかがわからなくなり、混乱するというのは、考えようによってはネック。
ただし、ストーリーによって役回りがまったく異なるキャラがいるなど、分岐の面白さはシリーズ随一で、アドベンチャーゲームにおける原点回帰的なゲームバランスではないかと。

不満があるとすれば、トゥルーエンドの追加シナリオが、あっという間すぎること。
あれはあれで格好良いのだけれど、どうもエピローグというイメージで、本編では、そこから大きくひと波乱あって盛り上がっていただけに、肩透かしを喰らった気分。
混乱したシナリオの整理や、ラストシーンの納得感などを考慮すると、プレイ後にアニメを見るとすっきりする部分が多いかも。
フルアニメでのゲームシリーズ"ELITE"版の発表も近いようなので、それで相互補完ができれば良いのだろうな。


そんなわけで、シュタゲ関連のゲームレビューはひと段落。
先日、新たなSTEINSシリーズの制作が発表されたようだが、「Occultic;Nine」のNintendo Switch版の続報が途絶えていたり、「ANONYMOUS;CODE」の発売日がようやく決まったりと、先に動かすべきプロジェクトの進捗状況を踏まえると、気長に待った方が良さそう。
僕の場合、科学アドベンチャーシリーズの第三弾、第四弾もまだ未プレイなので、まずはそこから、なのだけれど。

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