※この話はフィクションです。 僕はポケモン博士だ。 と言っても、ネットや配信で揶揄されがちな、「面倒くさい」ポケモン博士だ。 二言目には種族値、個体値。ネットで実況があれば「そんなことも知らないのかよ」とマウントを取るタイプの嫌なやつだった。ただそれでも、万能じゃなかった。タイプ相性とか、裏技やバグ技、世界観やシステムをあまりよく知らない頃の話だ。 中学2年の秋。突然、クラスのギャル、いわゆる「イケてるグループのやつ」に話しかけられた時にはびっくりした。 「
※この話はフィクションです。 「マイセンスーパーライト」 またスーツおやじである。 スーツおやじとは。私が定職に就かないまま、そして就職活動もうまくいかないまま、かれこれ5年アルバイトをしているコンビニに度々やって来る、スーツを着た40代くらいの男性である。 しわしわでよれよれのスーツを着たおやじ、なのでスーツおやじ。我ながらセンスのないあだ名と思うが、ハゲているわけでも悪臭漂うわけでもない、言うなれば特筆すべき何かがないオッサン、がしっくりくるので仕方ない。強い
※このお話はフィクションです。 「なかなか来ませんよ、その程度の子は」 スマートフォンの小さな画面の中でメガネをかけた1人がそう叫んだ。可笑しくなって、何度も見ているのだが、やはり笑ってしまう。安い缶チューハイの缶が手から落ちそうになる。 見ていたのは「東京03」というトリオの芸人のコント動画である。高校の教師が2人、職員室で談笑しているところにその高校のOBが挨拶に来る。2人のうちの1人が当時の担任だった、ということを打ち明けるのだが当の本人はOBを思い出せない、と