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【読書考察】恋とか愛とかやさしさなら 著 一穂ミチ

写真家の新夏(にいか)は恋人の啓久(ひらく)からプロポーズを受けた。その次の日に電車内での盗撮で警察に捕まった。犯罪者の彼への嫌悪感と彼を理解したいと思う気持ちの葛藤の中、相手を信じることについて悩みながら自身の答えを見つけていく物語。

【読みやすさ】⭐️⭐️⭐️
【おすすめ度】⭐️⭐️
【メッセージ性】⭐️⭐️

【考察】 
愛とか恋とかやさしさなら
 タイトルである「愛とか恋とかやさしさ」と比較されているのは「信じる」である。
 『愛とか恋とかやさしさなら、打算や疑いを含んでいて当然で、無垢に捧げ過ぎれば、時に愚かだ幼稚だと批判される。なのに「信じる」という行為はひたすらに純度を求められる』
「愛、恋、やさしさ」という気持ちは自身の心情を発生源として作られる感情である。「無償の愛」という言葉があるけども、相手への見返りを求めず相手にGIVEすることである。
しかし、「信じる」とは自身の信頼を相手に委ねるようなもので、相手に一点の曇りでもあれば相手を信頼するとこはできない。一方的にGIVEできるわけではない。
 それが性犯罪であれば、社会的にも厳しい視線が向けられ、一生性犯罪者というレッテルは消えることがない。
 一度性犯罪をした相手をまた前のように信じる事はできるのか。加害者の交際者視点で、信じるために相手に歩み寄ひ努力と苦悩をしていく。

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