江戸時代の『女子用火事装束』
以下の写真は、江戸時代の『女子用火事装束』です。
江戸時代はご存知のように火事が多発していたので、このような物は必需品でした。
ご覧の写真は大名の奥方や姫君が火事の際、避難する時に身に着けたものです。
よって大名の姫君の嫁入り道具には必ず火事装束が加えられていました。
羽織、頭巾、胸当の他に馬乗り袴を加えた4点セットが基本だった様です。
因みに右上の頭巾には波千鳥紋様が刺繍で描かれています。
また、左上の胸当ての図柄は波に鯉の図柄で同じく刺繍で描かれています。
やはり共に水に関連した模様なのです。
さて、本来火事の避難用の装束に求めれる事は『合理性』と『実用性』だけで良いはずです。
しかし、日本人の素晴らしさは、このような実用本意の物であっても、美しさを欠かさないことです。
「美しくなければ使う価値もない」というのが日本人の気持ちですね。
まさに「美意識は全ての時に叶い、細部に宿る」です。
日本人て素敵ですね。
和服研究家 成願義夫
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