伊藤若冲の鶏、『同じ足』の意味を推理する。
ある時、若冲の鶏の絵を見比べていて、こんなことを発見してしまいました。
なんと、鶏のポーズが違うのに、よく見ると足の形がほぼ、同一のものが何点も存在するのです。
これについて、私は以下のように推理しました。
若冲は、生き物の細部のリアリティーにこだわる絵師です。
その為、描きたい生き物の写生を繰り返し行っていました。
特に、鶏は好きなモチーフだったようで、作品数も多いですね。
彼は自宅で鶏を飼育し、数えきれないほどのスケッチをしていたのです。
彼の作品の特徴は写実的でありながら、独自の奇想世界(空想画)を生み出すため、デフォルメしながらもディテールはリアリティーに拘っているのです。
彼は、頭の中にある生き物のパーツを組み合わせて若冲の空想世界に住む生き物を創造しています。
これは、彼に限らず一般的なデザイナーの仕事のやり方と同じです。
そして、時には膨大な自分の写生帳の中から鶏のディテールを確認しつつ、そのまま写生帳のパーツを組み合わせることもあったのだと思います。
彼の作品は基本的に想像画なので、数多く描いていると、図らずも「好みのポーズ」の類似点がこのように見つかるのです。
若冲は作品毎のテーマにそって構図とモチーフと配色などを決めて描くのですが、無意識に好きなポーズを描いていたのです。
結果、似てくるのは仕方のないことと言えます。
ご本人は多分気づいていなかったと思います。
230年後に私に気づかれたことを天国で笑っていると思います。
これは、あくまでも私の独断的推理ですので、異論反論はご容赦ください。
デザイナー
成願義夫
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