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着物の図案に絶対描かない『花』

昔、中国のある場所のパンダが次々と餓死し、中国政府が慌てて生き残っているパンダを助けるために別の場所に移住させたという出来事がありました。 

竹を主食とする珍しい哺乳類(出典 白浜サファリパーク)

原因は、パンダの居住区の竹藪の竹が一斉に枯れたからでした。

ところで、竹の花の開花周期は、真竹は約120年と非常に長いのです。
つまり、竹の花が咲いているのを人は滅多に見ることができないと言うことなのです。

そして、周期がおとずれて開花すると、開花後竹藪全体の竹が全て枯れてしまいます。
この為、パンダが餓死する事態になってしまったのです。

そんな珍しい竹の花ですが、私は子供の頃、1度だけ竹の花を見たことがあります。
竹藪全体にまるで粉雪をかぶったように白く小さな花が咲いていました。
子供心に不思議な光景だと思ったのを覚えています。

竹の花 (出典 西日本新聞)

ところで、歌舞伎や伝統的な時代劇などで、仇討ちのシーンで敵に出会った主人公が言うお決まりのセリフがあります。

「盲亀の浮木、優曇華の花待ちたること久し、此処で逢うたが百年目!  いざ、尋常に勝負勝負!!」

ここで言う『盲亀の浮木(もうきのふぼく)』とは、百年に一度だけ海面に浮いてくる盲目の亀が、たまたま海面に浮いている木に空いている穴に首が入ることを言い、非常に難しく珍しいことであるということから千載一遇を表す吉兆を意味します。

さらに、『優曇華の花(うどんげのはな)』とは、三千年に一度開花するといわれている想像上の吉兆の花を言います。

古来より竹の花が咲くのを見るのもまさにこれに匹敵するほど珍しいとされていましたので、竹の花も吉兆と言いたいところですが、竹の花に関してだけは、咲いた後に竹藪が全て枯れてしまうことから、「不吉」とされています。

竹は吉祥紋様

伝統文様では竹は吉祥文様とされていますが、上のようなことから、竹の花は古来より着物の図柄には描かれておりません。

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成願義夫 Jogan Yoshio プロフィール
伝統文様研究家、装飾画家、アートディレクター、着物デザイナー、グラフィックデザイナー、伝統産業商品開発アドバイザー
株式会社京都デザインファクトリー 代表取締役社長

●代表作と最近の活躍
関西国際空港の初代ウエルカムボードのデザイン。
長野県善光寺の納骨堂の納骨壇の扉デザインの他、納骨堂のデザインは多数。
サッポロビールワインラベルなど、手がけたデザインは多数多岐に渡る。

●近況
2018年、秋、成願がデザインした金属製スマホケースが英国ウェールズ国立博物館に永久保管決定。
2018年、冬、和柄をテーマにした民放テレビ番組に解説者として出演。
2019年、春、ジョルジオアルマーニビューティー主催のイベント講師に招かれる。
2019年、夏、京都駅ビルのフォトスポット四箇所のデザインを手がける。
2019年、秋、京都高島屋のバイヤー向け『伝統文様勉強会』講師を務める。
2020年、埼玉県秩父市の招きで2日間に渡り講演会と伝統デザイン勉強会を開催。
2022年、NHKのテレビ番組『美の壷』に出演。

●近年はグラフィックデザイナー、壁面装飾画家、着物デザイナー、伝統文様研究家、伝統産業の商品開発アドバイザー、講演家として、テレビなどにも出演し、幅広く活躍中。  
著書は、和柄デザイン素材集を10冊以上執筆。総販売数は40万冊を突破。
また、著書の大人の塗り絵『和柄のヒーリングぬり絵ブック』(PHP研究所発行)は、累計7万冊を突破していまだにロングセラーを続けている。
成願の和柄デザイン素材集は日本中のデザイン事務所に、必ず1冊以上置かれていると言われている

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成願 義夫(ジョウガン ヨシオ)
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