没プロット・未上演作品
こんにちは。坂本です。
ふと、「頭の中にはあるけれど、まだ作品として形になってないものってどれくらいあるのだろうか?」と思ったので、プロットの棚卸しをしてみることにします。
全く上演するつもりのないもの、真剣に上演を考えているもの、すでに上演以外の形でお披露目したもの等、様々ございますので是非暇潰しにご覧ください。
①「わたしたちの基地」
【あらすじ】
孤児院「アサガオの家」全焼事故。多くの犠牲者を出し、また施設内で横行していた虐待行為が明るみに出たことにより、事故はセンセーショナルに報道された。
9年後、生き残りの1人であるフリーターの蓮は同じくアサガオの家出身の小夜莉と慎ましい生活を送っていた。そんな蓮に雑誌記者、笹沼が接触を図る。彼女は「アサガオの家」に関する連載記事を執筆しようとしていた。
【作品解説】
十六夜基地様への提供台本として書き下ろしたものの、新型コロナの感染拡大を受けて上演中止となった作品。短編。テーマは「血の呪い」。
直前で上演中止となってしまったが、内容を知る内輪からは「こんな闇の深いものが世に出てたら大変だった」「7ページまで読んだところで残り19ページもあることに絶望した」などの大変ありがたいご感想をいただいた作品。
ちなみに8月末の「めざましスラム」の決勝戦で冒頭の蓮のモノローグを抜粋し、朗読したところ優勝。ありがとうございました。
執筆が精神的にかなりキツかったこともあり、再び上演を目指すことには今のところ前向きではないですが、出身劇団の大先輩でもある詩人の長谷川結香さんに「観てみたい」と言われて心が揺れている。
②「総理の秘密」(仮題)
【あらすじ】
生粋のドMである総理大臣。日々国会で野党党首と舌戦を繰り広げながら、己の本性を必死で隠していた。そんな中、大臣の不祥事により、内閣は徹底糾弾されることに……。
【作品解説】
快晴プロジェクト在籍時に「コント公演やるか…?」みたいな話が挙がったことがあり、その時に15分くらいで考えたプロット。内容が薄く、あまり乗り気でなかったが、気がつけば企画ごと流れていた。
快晴プロジェクトを離れ、オトズレを旗揚げてからの私の作風がますますコントから遠ざかっているため、今後の上演可能性も0%。
③Kiss Me Do
【あらすじ】
閉鎖病棟に入院する1人の男。彼の後頭部にはもう一つの顔があり、顔には性悪で淫猥な女の人格が宿っている。男は後頭部の人格に苦しめられながら、己の破滅を願っていた。そんなある日、彼は偶然出会った患者の少女に恋をする。
【作品解説】
Edward Mordrakeという男性にまつわるイギリスの都市伝説をベースにした作品。当初、オトズレの第三回本公演での上演作として検討されていたものの「そもそもご時世的に本公演はキツくない?」という方針になったのと、劇団員からの評価があまり良くなかったため企画ごと没に。
④獏
【あらすじ】
大学に入学したばかりのハルコは目を覚ますと病院のベッドにいた。主治医曰く、彼女は本当は大学4年生で、ここ3年間の記憶を失っているらしい。
自らの置かれた状況が腑に落ちないハルコは、眠れない夜に向かった病院の踊り場で「獏」と名乗る青年に出会う。彼は「ハルコの夢を食べている」と言った。
【作品解説】
ノラクラフト様と共同開催したオンライン読み合わせ会のために書き下ろした台本。読み合わせしかやらない、ということで上演を全く想定せずに書いた作品。そのため、物理的に不可能に近いト書きがあったりする。
獏が超絶イケメン。私の作品に登場する男性は基本的に情けない男か人間のクズしかいないため貴重。
⑤歌姫
【あらすじ】
若者がほぼいない田舎の村が舞台。卒業を間近に控え、地域主催のイベント準備に精を出す2人の高校生。そんな中、中学卒業と同時に上京し音信不通となっていた彼らの同級生、莉衣子が帰ってくる。
【作品解説】
存在そのものをほぼ忘れていた、高校時代の執筆作品。我々演劇部(同好会扱い)の卒業公演として予定されていたが、学校側のミスにより公演当日に中止が決まった。あの学年主任、マジで覚えておけよ。
それはそうと、今読み返すと恥ずかしいくらい内容が面白くなく、もし添削して当時の自分にそれを伝えるなら真っ赤にした台本を突き返す。ただ、振り返れば「ひととき」「リリー(略)」「再生」などの作品における特有の地方観の端緒はこの作品にある。多分。
⑥Therefore I am.
【あらすじ】
養護学級に通う生徒の卒業までの1年を描く。養護学級には活発な性格だが病弱な貴史、奥手で心にトラブルを抱える文子、自らの性別に悩む??????の3人が通う。
穏やかな学校生活を送っていた3人だが、養護学級の担任である倫理教師・徳永に対する文子の恋心により少しずつ、彼女たちの関係性が軋み出す。
※??????は登場人物全員から異なる名前で呼ばれる。
【作品解説】
Billie Eilishによる同名楽曲をモチーフ(もしくは曲解?)とした作品。テーマは「反出生主義」。
まだ粗いプロットの段階ではあるが、正直1文字も書きたくないと思うほど精神的にハードな展開が続く。勘弁してくれ…。
いつか上演したい作品のひとつ。
⑥33秒(仮題)
【あらすじ】
人見知りで大人しいが、一方で脳内はものすごくうるさい主人公。なんと長年憧れていた相手に告白される。彼女が「私は今から告白される!」ということを察してから、その恋が実るまでの33秒を彼女の脳内彼氏と共に30〜40分尺まで引き伸ばして描く作品。
【作品解説】
短編恋愛もの。ちなみに最新のプロット(2021年10月時点)。なぜ唐突にこんなプロットを作ってみる気になったかというと、現在私の中で人生10回目くらいの綿矢りさブームが起こっているためである。
⑦すいそう
ーーーもしも、の話。
それだけが、いつも美しい。
【作品解説】
いつになるかは分からないが、この作品はいずれ上演したいと考えている。
大豪雨の夜に喫煙所へ取り残された工場労働者の女が見る幻想が物語の中心となる。ノラクラフト様とのオンライン読み合わせイベント第3回のために書き下ろした作品。現在、それをもとに「多発するポエトリーリーディング」というコンセプトの軸を崩さずに構成からやり直しているところ。
お楽しみに!
以上です。もっともここに書くまでもないものは日々生まれては消えを繰り返している上、時には夢で見た内容をそのまま書き起こして脚本にすることもあるのでアイデア未満の発想は無数にあります。しかし、そこまで書くとキリがないためある程度まとまったものを記事といたしました。
読んでいただきありがとうございました。
(写真撮影:コトデラシオン様)
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