女王の冠は重い。Reigns: Her Majestyレビュー
SwitchでDL配信されているReigns: Kings & Queensが前々から気になっていたので、セールを機に購入した。
初代Reignsは中世の王として国を治めるが、続編のReigns: Her Majestyは名の通り女王が主人公をつとめている。
面白そうだと思って集中的にプレイし、どうにかエンディングを迎えた。しかし攻略サイトがごく限られており、細かいフラグを見落としてかなり無駄な足踏みを続けてしまったので、感想兼備考録としてあれこれ書き残しておく。ネタバレばかりなのでご注意。
もともと買い切り型のスマホゲームであったため、システムはかなりシンプルでスマホのスワイプを基準に作られている。次々と表示されるキャラクターカードに対し、左(YES)と右(NO)にスワイプで返答する。
国の柱となる教会、民心、軍隊、国家予算の4つのバランスを保ちつつ、右下に表示されたToDoリストを果たせるよう統治していく。
指標のバランスを欠き、最高値か最低値になると女王は玉座からひきずりおろされて死を迎える。女王が死んでもゲームオーバーではなく、後継の女王がすぐに現れて国は続いていく。
進行と共に見えてくる謎、伏線を解き明かしエンディングにたどり着くのがゲームの主目的であるが、とかくゲーム中はヒントが乏しいので行き詰まりやすい。
道標となるToDoリストには◯◯に会え、◯◯をしろ等としか書かれておらず、実績解除しても「それによって何が出来るようになったのか」が分からないためだ。
女王が特定の星座の生まれでなければ発生しない重要なイベントがいくつもあるのに、自分の星座は代が切り替わるタイミングでしか確認できない(しかも星座アイコンのみ)なのも困ったところである。
メニュー画面などからも現在の星座は確認できず、ランダムで現れる侍祭にアイテムを使って聞かなければならないのは面倒すぎる。
のちに星座を変更できるようになるが、それもランダムイベントのひとつであるうえ「迷路内に描かれた模様から該当の星座を判断する」必要があり、あまりストレスの緩和にはならない。
また、キャラクターからもらう様々なアイテムはメニュー画面下に並んでいくが、これにも問題がある。
選択時にも名称が表示されないので、そのアイテムが何だったか確認するには+ボタンを押してインベントリを開く必要があるのだ。
しかも、アイテムがアップグレードされてもキャラクターテキストには一切変化はなく、キャラのヒントが理解しづらい場面が多々あった。
決闘用ピストル→ 強力なピストル→水鉄砲などは元になったアイテムがなんとなく分かるが、香水→ USBメモリ、鶏の骨→タブレットは原型を留めてなさすぎる。
装飾用ピストルから実弾入りピストルに変わり殺傷性が生まれる。時計を修理し、女王の星座を変更できるようになる。まっさらなノートに呪文を書き記してもらい、魔導書として使えるようになる。
そういった変遷はかなり魅力的だったが、香水と鶏の骨の二つはアップグレードしても効果が変わらず、アイコンのみ近代的になるせいで非常にまぎらわしかった。
最終的にはアイコンではなくアイテムの並び順で記憶して選択していた。原始的である。
ここからは登場キャラのうち、特に印象的だった面々の感想を述べていく。毎回名前が違っている(代替わりしている)キャラもいれば、いつまでも城に居座る不老不死もいる。
⭐︎主要人物
・王
女王の伴侶。アイコンと言動が明確にオッさん。楽観的でいい加減な性格が目につき、地味なわりに何かと印象が悪い。
彼が誠実で真面目なら女王が統治に口を挟む必要がないので、このような人物になったのだとは思う。
軍隊値が100になると女王を危険視して塔に幽閉し、国家予算値が100を越すと豪華絢爛な馬車を勝手に作って溺死を招く。
なので実弾ピストル入手後は「殺される前に殺す」理論で女王に暗殺される運命をたどる。
けれど暗殺はバレやすく、だいたいの場合は首の皮一枚つなげたにすぎないことが多い。王が勝手に参加した決闘試合で事故死した場合でも殺害の罪で捕まる可能性があるのはとばっちりだが、死ぬかもしれないと分かっていて意図的に見過ごしたのは確かなので否定しづらい。
運良く揉めずに王と天寿を全うすることもでき、その場合は仲睦まじいおしどり夫婦を祝福しよう。
・魔女
ゲーム進行の手助けとなるヒントを教えてくれるが、やたらとメタ発言をするクセの強い人物。
裏を知っているふうではあるが、最終盤には他キャラが増えまくっているためか、どうも印象が弱い。
個人的には、たまに現れて「アプリではなく現実の出会いを探したら?」とプレイヤーが女性であると仮定して煽ってくるだけのダルいキャラだと思っている。
・錬金術師
不完全な魔導書を完成にみちびく大役を持っているほか、一度だけ手順をふまずしてアイテムのアップグレードをさせてくれる。
しかし普段の研究はあまり成功せず、彼女のやりたいようにさせると大抵失敗して大損し、なけなしの国家予算を痛めつけられる。まれに富を産むこともあるが決してアテにはできない。
・侍祭
司祭……ではなく侍祭。統治する国の主神ではなく「万物の母」を崇める邪教の巫女。
万物の母は女王(プレイヤー)の魂をとらえ永遠のループをさせている張本人とされているため、彼女も厳密にいえば敵側なのだがゲーム中に敵対することはない。
むしろ女王を自分と同じ万物の母の崇拝者とみなし、なにかと協力してくれる。
頻繁に邪教の儀式を取り行おうとするので、その点のみ他と対立しがち。
もらっただけで用途不明だった無地のノートに「動物と会話できる呪文」を記してくれるので、動物好きは感謝のあまり彼女に足を向けて眠れなくなった。
・北方人
アマゾネスのような風体の北方リーダー格の女性。同じ大陸の異文化の民として協力を結ぶも、宗教観の違いなどで完全な相互理解は難しいことを語る。
序盤に登場したきり、致命的なシーンで助けに現れるわけでも明確な死の原因になるわけでもないのでかなり印象が薄い。
ちなみに同性も恋愛対象のようで、女王の恋人候補のひとり。
・将軍
国の軍隊を束ねる中年らしき騎士。そのわりに軍隊値が100のときも0のときも出てこないので、北方人ほどではないがこちらも印象が薄い。
どうやら女王に気があるようで、当人から誘いをかけられたら乗るし、王亡きあとは女王に次の相手として自分はどうかと興奮ぎみに立候補してくる。今のところ乗ったことはないので詳細不明。
・枢機卿
国の宗教のトップに立つ人物。神のためと称して教会にとって都合の良い政策をいくつも打ち出してくる。
言われるがまま教会の力を強めすぎると聖者試験なるものを受けさせられて殺される。逆に意のままにならないとみるや、女王を魔女として告発し磔刑にする。
立場上は敵対すべきではないが、味方に回るわけでもない獅子身中の虫に限りなく近い人物。
女王を邪教となる万物の母の崇拝者とにらんでおり、ときに証拠を揃えて裁判にかけてくる。
その時、おそらく全ての数値が規定より足りていれば咎めなしと生還することが出来るのだが、民たちから「女王の言葉は話半分にしか聞いていない」「まに受けている者は少ない」など女性軽視の発言をやたらと受けるため精神的ダメージがもたらされる。
燃やしちまえこんな国。燃えてええやろこんな国。
・医師
やたらフワフワした白髪の若そうな男性医師。
懐妊した際、彼がいなければ産褥で命を落としてしまうため真っ先に雇う必要がある(フラグ管理がズレる場合があるのか、雇っていても死ぬケースもある)。
逆に子宝に恵まれていない場合、妊娠にはこれが良いと子うさぎの内臓の薬を処方し、効果てきめん。彼の要求に応え続けて建つ哲学院は民心値100になってしまった場合のゲームオーバーを防ぐ。
発言も終始良心的であり実益を与えてくれるため、ゲーム中の数少ない癒しと呼べる存在。
ただ一点、魔術に興味を示したり、魔法の種子なる存在の話をされた時だけは否定した方が良い。
・探検家
見た目といい発言といい活動といい、何から何までパブリックイメージのコロンブス。
資金を渡すと実際に海へ行き、財宝を持ち帰ってきたりもするが、こちらに負債を与えてくるケースも同程度にある。
支援し続けると探検でかき集めたお宝(略奪品……)の展示館が建てられ、国家予算が尽きたときにそこから捻出してゲームオーバーを回避できる(回数に限りあり)。
恋人候補であり、自分からも立候補してくるが、かなりの浮気性らしく常に浮き名を流しており関係は長続きしにくい。
・島の王妃
陸続きでない隣国の王妃。表面上は友好的に振る舞っているが敵対心が強く、女王毒殺を図る場合がある。
また自国とは宗教も異なっているらしく、彼女の意に従い枢機卿を無視した行動をとると宗教値が減少する。
暗殺を避け、決闘に打ち勝つと真の同盟者として記念碑が建ち、軍隊値が0になった際に窮地に立たされた女王を救いに来てくれる。
胸の熱くなる展開ではあるが、代替わりによるフラグ管理が煩雑をきわめているのか記念碑があってもこちらを殺しにきたりするので油断ならない。
⭐︎サブキャラ
・フクロウ
生きている動物ではなくフクロウの像。壊れているのを修理すると元気に喋り出す。
提示された二者択一のどちらがより選ばれたかを教えてきたり、今までのプレイ統計をさえずったりとメタ発言の権化。おそらくアプリ版ならリアルタイム統計を喋っていたのだろう。
基本的に無害……かと思いきや、決闘に敗れた女王を即座に石化させてくる害悪をみせてくるので腹が知れない。魔女同様、ゲームシステム側の存在といえる。
・父
女王の実父。女王は例外なく外国から嫁いできた立場であるらしく、故郷の国出身らしき不審者がいるとの情報から救出に向かうと出会える。
感動の再会……はいいが、その後は城に居座っているらしく、ああだこうだと好き勝手な意見を垂れ流すようになる。
助けた場合のメリットをあまり感じ取れないので、二度目以降は無情に見捨てた方がキャラクターカードが少なくて済むかもしれない。
・吸血鬼
吸血衝動に悩む不老不死の男。彼の存在は国中の噂となっている。どうやら美形であるらしく、メイドが興奮気味に話すこともある。
人間に戻る?死を迎える?のどちらかを願っているが、女王がその願いを完全に果たすことはできない。
呪文を唱えて変身させても、いつのまにかカード群の中に戻ってくる。彼もまた無限ループにとらわれているのかもしれない。
・カエル姫
城の庭の井戸にいたカエルの言葉を理解し、呪いを解くことで城に住むようになる。
けれどいざ人間に戻ると自己中心的な発言ばかりで、提案はどれも的外れかつ無責任、一発で女王の死を招くものさえある。
魔女から「いずれ貴方も彼女をカエルに戻したくなるでしょう」と言われるが、実際にお邪魔カードといっても過言ではない。
実績解除のためとファンタジックさに人間に戻し、本人の素行の悪さに辟易してまたカエルにしたプレイヤーは多そうだ。製作者側も意図的に狙って作っていそうである。
・王子
成長した女王の息子。生まれてすぐ外国に預けられるので成長過程は見ることが出来ないうえ、ゲームオーバーになりやすい性質上どのタイミングの誰の子なのか判然としない。
誰に似たのか極めてちゃらんぽらんな性格をしており、親のすねをかじる気まんまんの態度を隠そうともしない。
女王も女王で「坊や」呼びで甘やかす選択肢が存在するので、あまり良い関係性とは呼べなかったりする。
ただ、王子はこのようにゲーム上にも登場するが、生まれたのが王女だった場合は「教会に預けたら面会も外出も許されず一生籠の鳥になった」とテキストのみ表示されたり不遇である。
教会以外を預け場所にできるパターンがあるかどうかは未確認だが、キャラ表の一人だけ埋まっていない欄が王女であればいいとは思っている。
・城のネコ(ハチワレ)
おそらく城に住み着いている野良ネコ。向こうから人懐っこく声をかけてくるが、動物と話せる呪文がなければ意思疎通は出来ない。
呪文を使うと万物の母につながるヒントの一部を教えてくれる。イベント後もランダムに出没するが、自分の役目は果たしたので耳をかいてほしいとおねだりしてくるばかりになる。
言われた通りかいてあげると民心値が上昇するのでかなり助かる。マイナス要素のないお助けキャラ。
あ〜かわいいね〜〜と癒されることうけあい。ネコはいいぞ。
さいごに特大のネタバレ。
日食を起こしたい場合は城の迷路に行って下さい。
白いガゼボか祠のようなものがあります。
攻略サイトにもこれ載ってなくてマジで苦労しました。2,000年ほど無駄にしました。