戦闘服 きっかけ②
大学4年の秋。ある日、部屋の扉を開けられなくて玄関で泣き崩れたことがある。それは1日では終わらなくて数日続いたので、さっさと精神科に行ってお薬をもらってきた。お薬のおかげで教室に行けることもあれば、逆にお薬で気持ちが不安定になることもあった。そんな時に、教室に行く背中をいつも押してくれていたのが、大好きな洋服達だった。
最高に可愛いくて、自分を可愛くしてくれる服。着ると背筋が伸びて、少し強くなれる服。誰に非難されても自分を揺るぎないものにしてくれる服。
ちょうど勇者が装備をそろえるように、ヒーローがコスチュームにこだわるように、私が私の人生を生きるのための戦闘服だった。
『現代を生きる女性のための戦闘服』
後から知ったのだが、これは私が大好きなファッションブランド『mame』のコンセプトだ。
うれしかった。同じ思いで服を作っているデザイナーさんがいて、その人の服を大好きだと思えることがうれしかった。同時に『先を越された!』と思った。私もそんな服を誰かに届けられたら素敵だな、と思っていたから。
私はたくさん服に助けてもらった。だから、私も誰かの人生の背中を押せるような服を作りたい。届けたい。漠然とそう思っていた。
作ろう!と思えるのはまだもう少し先のお話。
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