フカヒレとアワビ、なめらかな餡
ひさしぶりにフカヒレのランチにしようと思った。
ここぞというときに食べたくなるゴチソウがいくつもあった。
天丼、うな丼、寿司に焼肉、そしてフカヒレ。どれもが予算に応じてとびきりのゴチソウにも、ほどよきゴチソウにもなってくれる。
予算以上の満足を確実に約束してくれるお店を、ふたりで共有できていたことが今となってはよい思い出かなぁ…。
今日選んだのは新宿の高島屋の中の「天厨菜館」。
看板メニューのほうれん草と卵のチャーハンにフカヒレとアワビの煮込み、スープに漬物、デザートがついて3900円。
さすがに大きなヒレ一枚丸ごととまではいかなくて、背びれ半分程度の分量。けれどこの値段だと「過ぎた贅沢に耽けてしまった」罪悪感を覚えずにすむのがありがたい。
まずスープ。漬物にポットに入ったジャスミンティーがやってくる。
ここのスープがおいしい。
上等な上湯スープでクタクタになるまで炊いた白菜の芯。
ハリがあってなめらかで、スープと一体化して喉からお腹をあっためていく。
金華ハムや鶏の脂を沸騰させて最後にほどこす…、それがずっと熱々で風味豊かで味わい深い。オキニイリ。
メインのフカヒレとアワビの煮込みがやってくる。
大きく分厚いヒレが2片。
そぎ切りにしたこれまた大きなアワビが3片と、メインディッシュとしての風格十分で、青梗菜が彩り添える。
フカヒレもアワビも食感に特徴のある食材です。すべすべしていてハリのある太い繊維がざっくり歯切れ、そこにフカッと奥歯を沈めるアワビが加わり、口の中をにぎやかにする。
今日は大根餅をお供にもらった。ここの大根餅は大根の繊維が太くて力強く、干したエビがたっぷり入って香ばしい。
一緒にどうぞと添えられたもう一つの主役のチャーハン。ご飯の芯まで火が通っていて噛むとフカッ。焦げた脂の香りとフワッと軽い仕上がりの卵にほのかにみずみずしいほうれん草。
塩と脂、素材の持ち味で基本の味は決まっていてそこにフカヒレやあわびの餡が絡んで味がどんどん整っていく。餡に包まれお米の粒の輪郭が曖昧になっていくのが面白く、醤油漬けにした大根や炒めたザーサイの歯ざわり借りて満たされる。
エバミルクを固めたゼリーにすりおろした白いごま。どれもが好物、オキニイリ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?