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ブゴク定食たった一品…、という潔さ
体のすみずみまで染み渡るような滋養に満ちた朝にしたくて東銀座の「たらちゃん」にくる。
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韓国の干し鱈のスープ、ブゴクの専門店。
赤坂の一龍別館のソルロンタンにしようかちょっと迷ったけれど今日の気持ちは海の滋養。それでたらちゃん。
ブゴクの定食だけの超専門店で、お店に入るとスープの匂いで満たされている。
カウンターの中に厨房。
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スープがたかれた寸胴の鍋から湯気が湧き上がり、空気がおいしく潤っている。
寸胴鍋からスープを手鍋にとってIHヒーターにのせて温度を揚げていく。しばらくするとブクブク沸騰してくるのネ。
かなり大きな泡が鍋の中で暴れるように噴き上がり、そこに溶いた卵を入れる。火を止め器に移してネギをちらして出来上がり。
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スープが大きなあぶくになって沸騰したのは、干し鱈からでたゼラチン質がスープに溶け込んでいたからでしょう。スープの上には小さな泡がずっと漂い卵もふっくら。
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エゴマの粉末を混ぜた焼き塩、白菜キムチにニラのキムチ、オキアミの塩辛、大根の水キムチが添えられて、自分の好みに味を整え食べていく。
滋養に満ちたおいしさです。しっかりとしたうま味がある。けれど決しておしつけがましいうま味ではなくやさしく、なのに力強い。
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卵はふっくらなめらかで、たっぷり入った干し鱈はボロボロこわれて口に散らかる。噛めば噛むほどうま味が口に広がって次の一口をねだるおいしさ。
食べていくと唇や舌がすべすべしてくる。ゼラチン効果。
キムチを落として酸味、辛みをくわえて食べるとお腹が汗をかいていく。器をなめるようにキレイになった。体の底から元気が湧いた…、オキニイリ。
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それにしてもメニューひとつだけの超専門店がこうして成立していること。
しかも流行っていることがどうしてなんだろう…、って考えてみる。
東京という大きな市場だからということもあるだろうけど、どんな大きな市場でも「つまらない」とか「退屈」だとか思われてしまうと退場しなくちゃいけなくなるはず。
この店の「ブゴク」という料理はおそらく「完成品ではない」というのがいいのじゃないかとボクは思った。
調味料や薬味が自由に使えることで、自分の味にして食べられる。
提供される料理自体はひと味も、ふた味も足りない「素材」のような仕上がりで、ここに来るお客さまの数だけ完成品が日々作られる。
お客さまによって作られるというのが独特にしていいんじゃないかと思った次第。
完成品を作ってやろうと気負うと料理はたのしくなくなる。
これが完成品だといいはると、奢りのようにみられてしまう。
飲食店の料理はお客さまのためのものと考えることが大切なんだと思ったりもする。
お勉強。