カウンターにカラーチップとかつ牛丼
新宿南口からちょっと歩いて「たつ屋」に来てみる。
牛丼、かつ丼の気軽なお店。ぼんやり歩いていると見落としてしまうほどに入り口小さく、前を通るとおいしい匂いに鼻を撫でられはじめて気づく…、って感じのお店。
売り物は「かつ牛丼」。
かつ丼と牛丼を一度にたのしむことができる料理がオキニイリ。
今は朝から夜の10時までの営業時間。深夜営業をしていたことがあって、夜中になると不思議とここのかつ牛丼を食べたくなる…、っていけない病を患っていたことがある(笑)。
タナカくんともたまに来ていた。腹ペコさんにはうれしいお店。
昔は都内に何軒かお店があって、ボクがずっと働いていた水道橋にも支店があった。今では「桂庵」っていう立ち食い蕎麦のお店になってて、そこもやっぱり丼がおいしかったりするのがたのしい。
カウンターだけ。座って一言「かつ牛丼をお願いします」。厨房の中でテキパキ料理が作られていく。
カツを煮込んで玉子でとじるという仕事にちょっと時間がかかる。だからのんびり待つことになる。カウンターの一段高いところに黄色いカラーチップが置かれる。
かつ牛丼という印。
待ってる間にお勘定をしておこうと、1200円をカラーチップの横に置く。お店の人が気づいて「ありがとうございます」って言いながら取り上げお釣りの500円玉と一緒に緑のカラーチップを置いていく。
お勘定が済んでいます…、っていう合図。こういうアナログだけど合理的にして確実なシステムっていいなと思う。
厨房の中には大きなフライヤー。
うどんがメニューにあるから小さな茹で麺機。
出汁の入った深鍋に牛丼の頭が炊かれた寸胴鍋と、昔ながらの調理器具が並んでいるのにホッとする。
料理が完成。
深い丼にぎっしりご飯。ぱっと目、まるで開花丼のように見える。
牛丼の頭をどかすと下にはカツが一枚分。
縦に切られて玉子で閉じられ、あぁ、かつ牛丼だって改めわかる。卵とじには三つ葉たっぷり、シャキシャキ感を残した飴色玉ねぎ。カツは分厚くないけれど、衣に煮汁が染み込んでふっかりとしたおいしい仕上がり。
ここの牛丼には焼き豆腐が入ってて、ぷるんとなめらか。得した感じ。
煮た牛肉もかつ丼のタレも味はかなりきっぱりしてる。醤油の風味が強くって、塩がガツンで甘みは控えめ。いたずらにおいしくしようとしないところがボクは好き。
モリモリたっぷり食べることができる料理がおいしすぎるのは粋じゃない。おいしいものは食べてる途中で飽きてしまうことがあるから、一味足りない程度がおいしい。
玉子はほどよく熱が入ってふっくら、ぽってり。ご飯は硬めでパラパラしていて、しかもつゆだく。丼の底に煮汁がたまって、最後の方はザブザブかきこみ食べることになる。
丼を手に持ちワシワシ…、お腹いっぱいになるたのしみを手から実感できるのもいい。紅生姜をたっぷりのっけて辛味や酸味を足してもりもり。腹いっぱい。