見出し画像

今まで食べてたビーフンって何だったんだろう…、ってビーフン

今まで食べていたものは一体何だったんだろう…。
そう思い知らされる料理との出会いがときおりあります。
そういう思い出。
今日の話題はビーフンです。

そもそもビーフンを食べに行こうと思うことがあまりない。
ビーフン。
米粉と書きます。
米でできた春雨みたいなものでしょう…、と思ってしまう。そうなってしまうと春雨をわざわざ食べにいかないように、ビーフンをわざわざ食べに行こうと思う気持ちはまず湧かない。
ところが東京新橋に、わざわざでも行きたいと思わされるビーフンの専門店がある。

「ビーフンの東」。
新橋の汐留側の新橋駅前ビルの中。新橋駅から汐留という平成の街に向かう途中の昭和の要塞…、そんな感じの古臭いビル。
地下に一階、それから二階と新橋サラリーマン御用達のおいしい店がずらりと並びランチ時には周りのビルからお腹をすかせた人が続々、やってくる。
カウンターの中に厨房。オープンキッチン。テーブル席がズラッと並ぶ店の姿は昔と変わらず。

ランチのメニューはビーフン3種。サイズも3種でそれぞれ焼きビーフンと汁ビーフンが選べる。それに粽。ココでは台湾風にバーツァンと呼ぶ、それが一種でビールが2種類。あっけないほど単純で、ずっとこれでやり続けてる。みんなこれらのどれかを目当てにやってくるから、変わる必要が無いというのがステキなところ。

五目焼きビーフンの小さいサイズとバーツァンを注文しました。
まずビーフンがやってくる。
あっという間です。
仕込んでおいたビーフンに炒めた具材をのせるだけ。
ぶた肉、キャベツ、白菜、ピーマン。
にんじん、たけのこ、エビに茹でたうずらの卵と五目といいつつ8種類。
量もたっぷりで盛り付け方もうつくしい。
油の香りがフワッと漂い食欲誘う。
お供にスープがついてきて、まずは一口。口を潤す。

それからおいかけバーツァン到着。
包んで蒸した竹皮を剥いて中身があらわな状態。スープを含んで蒸されたもち米は、ひとつひとつがくっつきあって色は飴色。テカテカ光る。シアワセな昼のひと揃え。

バーツァンを崩すと中からゴロゴロ具材が転がしだしてやってくる。豚バラ肉の醤油煮にうずらの玉子にしいたけ、鶏肉、ピーナッツ。どれもしっかりスープを吸い込み、おいしい色に仕上がっている。
もっちりとした米の食感。蒸しただけなのに香ばしく、粘るかと言うとパラッと散らかり歯ごたえがよい。添えられたザーサイがまたおいしくて、夜ならこれでビールだなぁ…、なんて思った。これをお土産で買っていく人。あるいは郵送手続きする人と、昼から何人もいるというのにちょっとびっくり。名物料理。

そしてビーフン。圧倒的なおいしさです。バサッとしていて歯ごたえがよく、なのに口の中ではとても頑丈。噛めば噛むほどに味が染み出しなんとも旨い。にんにく醤油が用意されてて、それをかけるとコクと風味が深さをまして、たまらぬおいしさ。

これをはじめて食べたとき。今まで食べてたビーフンって、一体何だったんだろう…、ってそれまでの自分の食を反省させられるような気持ちになった。
ただ、このようにおいしいビーフンをこのお店以外で食べられるかというと決してそんなことはなくとても独特。

普通ビーフンは茹でて戻すけど、ここのは熱湯に浸すだけ。
その戻し方がおいしい秘密って一度効いたことがあるけど、自分で試してもなかなかこんなふうにはならない。この店、この料理がこれから先もずっと続いてくれることを望むばかりというゴチソウ。
二個のうずら卵がそれぞれ違った状態。普通に茹でたビーフンの具と、醤油スープで煮込まれたバーツァンの具を食べ比べ。白身が痩せてトロンと黄身がとろけるようなバーツァン卵が格段おいしくオキニイリ。
小サイズの焼きビーフンはあっという間に終わってしまう。隣の人が食べてたカニ玉のっけの焼きビーフンがおいしく見えて、追加しようと思って我慢。また来ればいい…、と大人の分別。また来よう。

いいなと思ったら応援しよう!