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神田まつやの天南ばんそば

ひさしぶりに「神田まつや」で昼をとる。
人気の店で今や平日でも行列ができる店。開店10分ほど前にきたら20人ほど待ってらっしゃる。
60席を超える店です。だからのんびり開店を待つ。
インバウンドさんもちらりほらりと。日本情緒たっぷりの店の外観をパシャリパシャと撮っている。
11時ちょっと前に引き戸がガラガラ音立てあいて、暖簾がかかる。
いらっしゃいませの声と同時に行列が前へゆっくりすすんでく。
席に座って「天南蛮そばを」と告げる。

温かいのですか?と聞かれて、それでと答えのんびりと待つ。
英語のメニューも用意されてて、迷っていると天せいろを指差しニッコリとする。たいていそれで決まるみたい。たしかにそれが一番人気。天南蛮は少数派(笑)。
お店の中はたちまち満席。高い天井にざわつく音が響いてにぎやか。次第にそばをズルズルすする音がしてくる。おいしい匂いが四方八方からやってきてお腹も鳴ります。

「天南蛮そば、お待たせしました」とボクの料理がやってくる。
白い器にいかにも江戸前の色黒の汁。
気持ちよさげに浸かったそば。上に天ぷら、白いネギ。
柚子の皮がひとかけ彩り添えている。

この天ぷらが独特で小さなエビに衣をつけて揚げた天ぷらを3本並べて衣でつなぐ。
筏のように仕上げていて、だから衣がたっぷりついてる。
そばの天ぷら…、特に熱い天ぷらそばの天ぷらは衣が命って思っているからこの天ぷらは命の天ぷら。
まずはそばをズルンとたぐる。

やわくてなめらか…、喉越しがよい。汁をたっぷりまとってトゥルンと口の中へとやってきて、おいしい汁で口を満たして消えていく。
そばの香りが鼻からぬけて、軽い酸味を残して次のひと口ねだるオゴチソウ。

そのうち衣が汁を吸い込みとろけてく。筏がゆっくり壊れていって衣がちらかりそばにからんで口の中へとやってくる。
それがなんともおいしくてウットリします。

エビは小さいながらもしっかりとした身質に味わい。尻尾もバリッと揚がってうまい。ネギはパリパリ。奥歯のところで壊れる音が痛快で、噛んでるうちに甘くとろけて消えていく。
そばを終えるタイミングでそば湯がきます。

そばにからんでおいしくなるよう、濃い目に味を整えられたかけ汁を薄めてたのしむためのそば湯で、薄くなることで出汁の風味や持ち味が目覚めておいしくなるのが不思議。刻んだネギを入れて風味をととのえゴクリ。一滴残さずお腹に収まる。

オキニイリ。


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