杏氷は酸っぱくあまく、そしてやさしい
冷たく甘いモノで〆。交通会館の「おかめ」に来ます。
そろそろかき氷がはじまっているんじゃないかと思って来てみれば、入り口脇に「氷」の旗がたなびいている。
杏氷を食べることにする。
シニア女性だけで運営している甘味のお店。空気もリズムのおだやかなのが今の気持ちにありがたい。
注文すると厨房の方からシャリシャリ氷を削る音。
お待たせしました…、とやってくる小さな器から溢るるがごとのかき氷。
杏が3枚。刻んだ杏混じりのシロップたっぷり。削った氷は積もった雪のように白くて細かくて、光に透かすと透明でキラキラ光る。うつくしい。まずは一枚、杏をペロリ。クチュっと潰れて口の中を甘酸っぱくする。そして氷をパクリとひと口。
てっぺんのシロップがかかったところはみずみずしくて、舌にのせると儚く溶ける。杏の香りとやさしい酸味で口の中はスッキリさわやか。
氷の山の中腹部分はシロップがかかっておらず、食べると口が一瞬乾く。水から生まれた氷を食べて渇きを感じる不思議がたのしく、それも一瞬。あっという間に水に戻って消えていく。
乾いた氷を掘り進めると底に溜まったシロップがしみ出してくる。食べすすめると甘み、酸味が徐々に強さをましていき一番底には杏が一枚隠れてる。氷でずっと冷やされてキュキュッとしまった干し杏。口に含むとゆっくり温度をあげながらやわらかくなるおゴチソウ。
790円という値段もうれしい。またまいりましょう、オキニイリ。