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唐揚げ、肉じゃが、茶碗蒸し。銀座の昼の酒の穴

昼を銀座の「酒の穴」。

肉の殿堂「らん月ビル」の地下にあった「利き酒処」。日本酒と料理をたのしむ大人の店で、ビルが改築のため一旦閉店。
場所を変えて先日めでたく営業再開。
「ZOE銀座」っていう個性的な飲食店が集まるビル5階。
窓の大きな明るいフロアに整然と並ぶテーブル。まるで違ったお店のように見えるけど、酒燗器が埋め込まれたテーブルは昔の通り。

なにしろ「利き酒処酒の穴」。

タイガーマスクが日夜鍛錬に励んだ虎の穴の向こうを張るような名前であります。毎夜、銀座の紳士が酒の修行に精進する場所。
とはいえ昼は下戸でも平気。着物姿のおねえさん方も場所が変わると表情明るく見えるところがオモシロイ。
10種類ほど料理の中から好きなものを3つ選べる「お好み定食」が人気の献立。中でもボリュームたっぷりの茶碗蒸しが人気で、けれど他の料理はどれも控えめ。やはり何かメインの料理が欲しくなる。

そこで一計。鶏の唐揚げ定食をメインに選ぶ。

お好み料理の中から一品選べるのでまず茶碗蒸し。一品400円でお好み料理を追加できるので肉じゃがを選ぶ。〆て1380円なりの昼ごはん。
のんびり待ちます。注文を受けて料理を仕上げていくから時間はかかる。でも丁寧な仕事をたのしめるのはありがたく、それでのんびり。10分ちょっとで料理は完成。お待たせしましたとやってくる。

お膳の上には料理がギッシリ。中でも唐揚げの器が「ボクが主役」としっかり主張しているところにニッコリします。
主役あってこその定食。その主役を食ってしまうほど実力のある脇役があれば舞台は一流になる。この定食はそういう定食。

タレに漬け込みしっかり味を染み込ませた色黒の鶏の唐揚げ。色黒だけど濃い味じゃない。ご飯をねだるおゴチソウ。

肉じゃがも準主役級。じゃがいも一個をゴロンとそのまま。芯までしっかり味が入ってなにより一緒に炊いた肉がおいしい。すき焼きがおいしいらん月の経営ですから、脂の香りがよくって甘い。

そして大きな茶碗蒸し。

大きな茶碗くらいの大きさの器にたっぷり。出汁をたっぷり含んでふるふる。口の中で卵スープのようにふるまう。エビにカニ、しいたけ、鶏肉、銀杏と具材もたっぷり。主演女優な感じでニッコリ。
汁と漬物がおいしいんですよね。特にたくわんがバリバリ壊れる食感が痛快にしておいしくて、こういうところをしっかりおさえる店っていいな…、ってしみじみ思う。オキニイリ。


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