博多の屋台出身、焼きラーメン
博多の屋台。
屋台街があるのでなくて、普通の町に夜だけ忽然と姿をあらわす不思議な景色。
どこか日本じゃない、アジアな感じを漂わせ、そこが観光の場かといえば地元の人たちにも愛されている。
博多という街を特別な街にしている理由のひとつが屋台。
…、なんじゃないかといつも思う。
そんな屋台の定番料理を食べておきたいと博多駅の商業施設のラーメン屋ばかり集まるフロアの「ShinShin」という店にくる。同じフロアに有名店が何軒もあるのだけど、ここを選んだのは「焼きラーメン」がメニューにあるから。
焼きそばじゃなく焼きラーメン。
博多ラーメンの細麺を使ってとんこつスープをかけまわしつつ焼き上がったところでウスターソースで風味を整える。
屋台料理として生まれた料理。
屋台において鉄板はとても重宝する調理器具で素材を上に置けば焼ける上、鍋をおいて茹でたり揚げたり煮込んだりだってできる万能調理器。
その鉄板で焼いて仕上げるとんこつラーメンなんてある意味、これほど博多的な料理は他にないんじゃないか…、って思ったりする。
昔は中洲が遊び場でした。
屋台で食べてクラブで飲んでうどんを食べて寝に帰る。そんな夜ふかしも長らくご無沙汰。昔をちょっと思い出す。
お皿に料理は山盛りです。
野菜たっぷり。焼いたラーメンというよりも焼いた野菜に極細の麺が混じっているような姿が独特。
ザクザク歯切れる極細の麺。ウスターソースで味が整っているから焼きそばのようでもあって、けれど唇が貼り付くような感じはとんこつスープが含んだゼラチン質ゆえ。キャベツにモヤシ、刻んだなるとにアサリにイカゲソ。豚バラ肉も混じってて、具材だけをみればちゃんぽん。
麺も具材も一体となり、騒々しいほど噛み心地が良い。ちょっと味が強くて、これはやっぱり酒を飲みながら食べる料理だって思ったりした。
東京でも気軽にこれが食べられるといいのになぁ…、って思いもします。オキニイリ。