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日本のもてなしをバフェに仕立てる佳香の朝
西新宿のハイアットリージェンシーホテルの和食のダイニング。「佳香」の朝食。
日本料理をバフェスタイルでたのしめるオキニイリの店にやってくる。
ロビーフロアの一階上。華麗なシャンデリアがぶら下がる吹き抜けを眺めるようにバフェテーブルが設えられて、バフェの向こうは未来な景色。
店内は…、というと伝統的で格調高い数寄屋作りでそのコントラストが現代的な日本情緒を醸し出しているからでしょう。インバウンドの人たちに人気のお店。しかも窓の外には西新宿のスカイライン。朝の気持ちが盛り上がります。
日本らしい朝のもてなしをバフェで表現するとどうなるのか…?
彼らが出した答えのひとつが玉子焼き。出汁たっぷり含ませた卵を長方形の鍋で焼く。湿った音と一緒に卵が焼ける香りが漂ってきて、くるんと巻かれる。再びジュジュっと湿った音。巻かれて焼かれてと繰り返し卵焼きが出来上がる。ふっくら、しっとり。ご飯をねだる朝のゴチソウ。
ご飯は小さな土窯で一人前づつ炊かれたもの。客席ホールの一角で蒸気が蓋を持ち上げてカチカチ音を立てながら炊ける景色がなんともおいしい。茶碗ちょうどいっぱい分というのもステキ。
炊き上がったばかりのご飯はピカピカつやつや。
ほどよくお焦げができていて、ふっくらパラりと口の中でほぐれてちらかる。
鰹節から削ったばかりの削り節をたっぷりかけてハフッとひと口。
日本の朝がやってきて…、ってニッコリとなる。
お腹も本格的に空いてくるのがありがたい。
用意されてる料理はすべてがご飯のお供にぴったりなもの。
うれしいことにじゃこ天がある。
茹でた野菜に大根おろし。釜揚げしらすをたっぷりあわせ、ハフリハフリとご飯を食べる。
マグロの赤身の漬けがある。味噌で風味をととのえた山芋とろろがあったりもする。ほんのちょっとづつの料理が口の中でご飯と混じって新たな料理ができていく。日本の料理は口の中で最後に仕上がる料理だなぁ…、ってしみじみ思う。
それにしても今日の漬けマグロのおいしいこと。ひんやり舌にまず冷たくてピトッと貼りつく。水気がほどよく抜けてネットリ、歯応えも良くて旨味、酸味で舌が喜ぶ。薄く輪切った白ネギに茗荷が風味と食感整えご飯もおいしくしてくれる。
納豆にとろろと一緒にくるんと混ぜて、山かけマグロ納豆にする。とろろと混ぜた納豆は不思議なほどに糸がススッと切れやすく、納豆、とろろのスベスベ感で漬けのマグロのネットリ感が引き立ってくる。ズルンと食べてご飯をパクリ。香り上等な焼き海苔をパリッと食べてお腹に収める。
季節の美味のキノコの味噌汁。バナナを一本、コーヒー飲んで今日1日を頑張る元気を蓄える。