丸十はさつまいも
荒木町の「さわ野」でお昼。
お昼の定食はいつも銀鱈と大根の煮付けに魚の幽庵焼き、焼鯖、刺身。それに季節でかわる料理がメインの5酒類。
今日の季節の料理は「太刀魚茄子巻揚」だとある。
太刀魚は大好物。茄子の揚げ物も好きだったから、今日はこれにしようと思ってここにした。
近所の洋食屋さんに一緒に行こうと思って車力門通りの坂を下りはじめたところで、偶然表の看板を見て、たまには魚もいいね…、とやってきたのが出会いのお店。
ご主人がひとりでお店を切り盛りしてて、そのご主人が顔が立派な武者顔で、ちょうど武者絵を描きたいって言ってたタナカくんがしばらく通っていたお店。
絵を描き終える前に逝ってしまった。今日もご主人、エプロン姿で元気でらっしゃる。
太刀魚で茄子を巻いて揚げたもの。
野菜の揚げ物も添えられて、思った以上にボリュームたっぷり。
表面、サクッと歯ざわりがよく太刀魚ふっくら。熱の入った茄子が熱々、とろけるおいしさ。
手間のかかった料理はおいしい。
ごまだれにひたしてハフハフ、味わい、食べる。
お供の小料理が4つついてくる。
トマトを添えたポテトサラダに卵焼き。おからに浅漬。おからはしっとり。漬物はきゅうり、大根、ニンジンでシャキシャキカリコリ、食感にぎやか。卵焼きの上にはたらこをひとかけおいて炙っているのが気がきいている。
ご飯はいつも季節の素材の炊き込みご飯。今日は「丸十ととうもろこし」。
丸に十の字といえば薩摩藩島津氏の家紋で、つまりさつまいもととうもろこしが具材のご飯。ほのかに香る出汁の風味に、とうもろこしの爆ぜる食感。ぽってりなめらかで甘いさつまいもが秋の訪れ教えてくれる。
太刀魚に添えられた野菜はじゃがいも、ししとう、赤いパプリカ。薄付き衣でサクッと揚げられじゃがいもホクホク、香りゆたかなししとうに甘いパプリカ。どれもゴチソウ。
お揚げとネギの味噌汁もやさしい味わい。60過ぎるとこういう料理がありがたく、おいしく感じる。オキニイリ。