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まもなく閉店してしまう店のコト
新宿駅の西側の大々的な再開発。「新宿グランドターミナル」って名前もついて本格的に始動する。
世界一の乗降車数を誇る新宿駅はデベロッパーにとって宝の山。
どんな街になるんだろうとワクワクでもあり、でも今までの思い出が一掃されると思うとさみしい。しょうがない。
メトロ街でがんばっていたお店はどうなってるんだろう…、と思って来てみたら永坂更科布屋太兵衛は5月10日で店じまい。
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向かい側の万世も今月いっぱいで終わるんだという。
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万世で昼にしようかとお店に入った。
好きなお店がなくなることはさみしいこと。
けれどそれ以上にそこで働いていた人たちのことを思うとさみしさひとしお。永坂更科布屋太兵衛のゴキゲンでやさしいおばさんたちはどこでなにをしてるんだろう。この店の人たちも来月からはどうなるんだろうと思ったりした。切ないね。
さて昼ごはん。
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ここのオキニイリ、和牛切り落としの鉄板焼きを選んでたのむ。
薄切り和牛を炒めたものと、キャベツやタマネギ、もやし、ニンジン、ピーマンと野菜炒めの盛り合わせ。
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「世界で一番贅沢な野菜炒めかもしれないね」なんて言ってタナカくんも愛でてた料理。
芥子醤油にとっぷりつけてご飯と食べる。
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昔はこの芥子醤油一択だった。
今ではカルビ焼きタレなんて焼肉のタレのようなものも選べるのだけど芥子醤油の素っ気なさというか、余分で雑な味がせぬ分、肉屋野菜の持ち味を思う存分楽しめるのがオキニイリ。
肉はクシュッと縮んで仕上がる。脂たっぷり、プルプルとした食感で焦げた脂はサクッと壊れる。和牛の脂は甘くって、とっぷり浸した芥子醤油の辛みが甘みを引き立てる。
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ご飯の上にのっけて食べる。するとご飯に牛肉の脂とタレが染み込んで食べるにつれてどんどん育つ。野菜炒めにも肉の脂が混じってツヤツヤ、スベスベしてる。シャキシャキとした歯ざわりが、体にいいものを食べている…、って気持ちにさせる。イリコの出汁がしっかり効いたとん汁もオゴチソウにてオキニイリ。
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ちなみに今日の鉄板焼はSサイズ。ご飯は半分。それで十分お腹が満ちる。昔は肉大盛りのラージサイズの鉄板焼に大盛りご飯、ヒレカツをサイドに添えてもりもり食べてた。すっかり省エネ仕様の体になった…、お年頃。