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良き店の良きとんかつ
岐阜の昼。「とんかつや」というとんかつ屋にくる。
カウンターだけ、オープンキッチン。
お店に入ると眼の前にご主人が立ってて「いらっしゃいませ」とむかえてくれる。
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コの字型のカウンターの設え方や、厨房の床が板張りでお店の人はズックを履いて仕事をしている。それが「目黒のとんき」に似ていて、ご主人にそう言ってみた。
ご主人曰く。
先代が目黒のとんきが大好きで、店をやるならああいう店にしたいと設計士さんも一緒に出向いて勉強しながら作ったんです…、って。
なるほど納得。
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揚げ物だけの献立です。種類は豊富。カウンターの上にソースや醤油、調味料が多彩に揃い、好みの食べ方で食べてくださいと、しなやかな提案がいい感じ。
注文が入ってから肉を切る。
パン粉をまとわせ油に落として仕上げていく…、その仕事のすべてが粛々として騒々しくない。油で揚げる音も静かで油の匂いもほとんどしない。空気もおいしい心地よさ。
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料理によって食器をかえる。
和食器だけでなく洋食器も使って装いあざやかにして色っぽい。
銘柄豚のカツもある。
気になったのがミックスランチ。
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ロース、ヒレカツ、串カツの中から2つ選んでたのめるというのでヒレと串カツにする。
パン粉は細かい。
揚げ色は明るめでバリッと衣が壊れる感覚。
ラード混じりの甘い香りが鼻から抜ける。肉はしっかり揚げられていてさっくり歯切れる。ヒレはふっくら上品な味わいで、串かつはネギの歯ざわりがパリッと痛快、肉と一緒にとろけてく。
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肉の状態もいいけれど、なにより衣がおいしいとんかつ。歯ざわりがよく壊れてちらかる騒々しさがたのしい上に、甘くてあとに残る香りまでもが香ばしい。
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ホタテの柱のフライをとったら、これがもうおいしくってビックリしちゃった。
火の入り加減が絶妙で柱の断面がしっとり汗をかいている。自家製のタルタルソースがついてくるけど、おろし塩ポン酢っていうのがおいしくってネ…、ホタテの持ち味引き立てながら油をさっぱりしてくれる。
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牡蠣フライを一粒もらって味噌ダレにつけて食べたら、これがまたおいいしくってビックリしました。牡蠣と赤味噌って相性いいとわかっていてもこのおいしさは予想外。
開店とほぼ同時にお店に入ってしばらく静かだったけど正午前にはほぼ満席。にもかかわらずお店の人の仕事のペースが崩れることなく、バタバタするようなことがない。料理の提供が若干おくれることがあっても、すべての仕事が眼の前で行われているという安心感と信頼感でみんなのんびり待って食べてる。そういうムードまでがゴチソウ。いいお店。