雨じゃなくてレイン
まもなく梅雨は終わるんでしょうネ…。
今年の梅雨は不思議な梅雨で、晴れの間に間にザーッと降ってはすぐにやむ。
気まぐれな梅雨とでもいいますか。
降り続いたって感じがなかった。
雨は嫌いじゃないんです。
雨が降ると心の感度があがるような感じがする。
霧雨、小雨は肌の感覚が鋭敏になるような気がするし、ザーザー、音がするような雨は思考が内へ内へと向かっていく。
考えごとをするのにぴったり。
キッパリとした驟雨もいいし、いつ終わるかわからぬ地雨も趣深い。
自分と向き合える感じが嫌いじゃない。
雨を歌った歌も好き。
先日、ザビートルズの話をしたとき「Rain」って曲が好きなんだ…、って話をした。
実は他にも「レイン」ってタイトルの歌が結構たくさんあって、今日はそんな話をしてみる。
大切なのは「雨」じゃないってこと。
日本語の「雨」はジメジメ湿っぽく演歌の世界にたちまちなっちゃう。
クヨクヨするのは「雨」の歌も「レイン」の歌も同じなんだけどちょっとドライな感じがするのネ。
どこかキッパリとした感じ。
そこが好き。
今日は好きな「レイン」の話。まず岩崎良美のレインから。
岩崎良美のレイン
岩崎良美といえば「タッチ」の主題歌や挿入歌ってイメージが強くて、テレビに出てきても歌うのはそればかり。
抜群の歌唱力とリズム感。
さまざまな作詞家、作曲家が彼女のためにいい曲を沢山作っているのに本当にもったいない。
尾崎亜美が作った「ごめんねDarling」や「化粧なんて似合わない」はちょっとフレンチ・ポップス風。
安井かずみと加藤和彦夫妻の手になる「どきどき旅行」「マルガリータガール」はカリフォルニアっぽい軽快な音。
のびやかな愛の歌「赤と黒」とか、恋多き悪女の歌「マノンレスコー」。
友だちの彼とできちゃった気持ちを切々と歌う「くちびるからサスペンス」はオカマ泣かせの人気の歌。
曲想は多様で、アイドル全盛のわかりやすい曲が重宝された時代には、売れ筋とは決して言えないむつかしい曲揃い。
どちらかというとニューミュージックよりの曲が多くて、だから好きなのかもしれないなぁ…。
どれもカラオケで必ず歌う好きな歌。
中でも特に好きだったのがこの「レイン」。
1983年に発売されたアルバム収録曲で、シングルカットはされていない。
Rain…、ため息、素肌 そして幻(ゆめ)
あなたに抱かれて 波を見ていた
思い出 横切る
あぁ…、こんな恋をしてみたいっておじさんだってウットリします。
ロマンティックでメランコリック。
売野雅勇の叙情的な歌詞に馬飼野康二の流麗なメロディー。
伸びやかな声。
ハリがあってつややかで。
後半、急な転調があるんだけれど、ここがとてもむつかしく、なのに彼女はすんなりこなす。
しばたはつみに似てるかなぁ…、一緒に歌うことができたら死んでもいいって思っちゃうほど好きな歌手。
大江千里のレイン
大江千里のレインも好き。
バックコーラスのオネェさんたちの肩パッドバリバリのお立ち台ファッションに目が釘付けになっちゃいました。
なにしろ1988年のリリースです。
ボクが28歳のときの曲。
ダリル・ホール&ジョン・オーツっぽい曲の感じが、当時洋楽ばかり聴いてたボクの耳にストンとすんなり飛び込んできた。
28歳の頃のボクは恋多き男の子でありましたから、二丁目界隈で「行かないで、行かないで」って思うことがよくあった。
あるいは「行かないで、行かないで」って思われていたこともたくさんあったに違いなく、だからこの歌に自分の気持ちを照らし合わせて、慰めたり悦に入ったりしていたものです。
槇原敬之や秦基博もカバーしている。
ちょっとトリッキーな曲だから、歌唱力に自信のある人が歌いたがるかっこいい曲でもあるのでしょう。
ボクもよく歌ったし、上手に歌える(笑)。
楽曲の構造がクラシック的にカチッとしてて最初のメロディーはほぼ完璧にカノンです。
だからアレンジしやすい曲でもあって、大江千里自身がジャズにアレンジしたバージョンがある。
ピアノだけの演奏で、歌詞がないからメロディーの力がストレートに響いてくる。
転調激しく、暗くなったり明るくなったり。
比較的激しい雨を感じるメロディーなのだけど、雨の中にときおり日差しが差し込んで、天気雨になるような…。
絶望と希望が入り混じった青春っぽさを感じる名曲。
今でもやっぱりオキニイリ。
シドのレイン
ちょっと変わったところではシドが歌っているこのレイン。
「鋼の錬金術師」の主題歌になってたんですよね。
アニメ好きのタナカくんが一時期ハマっていて、それで一緒にボクも見ていた。
で、アニメの内容よりもこの主題歌にハマって結構歌ってた。
ボクがビジュアル系バンドの曲を歌う日がくるなんて…、ってタナカくんがびっくりしたけど一番びっくりしたのは当の本人です。
これをきっかけに同じく鋼の錬金術師の主題歌になった「嘘」もよく歌ったなぁ…。
ドラマティックなサビが好き。
Spotifyで聴いてると、シドの曲を次々おすすめされて次々聴いて、実はレインよりハマってしまったのが「妄想日記」っていう初期の曲。
好きすぎてストーカーになっちゃった哀しいファン心理を描いたものなんだけど、よくできている。
カラオケでは、キーを下げてテンポもゆっくり。
美川憲一風にねっとり、しっとり歌うのが好きだったんです。
途端にオカマの歌になる(笑)。
稲垣潤一のドラマティックレイン
レインの歌のとりはやっぱり稲垣潤一の「ドラマティックレイン」にしましょう。
文句なしにドラマティックです。
そして秋元康が歌詞を書いてるんだなぁ…、って思うとちょっと渋い気持ちになっちゃいます(笑)。