博多のうどんを思い浮かべるに十分な有楽町の博多うどん
有楽町の交通会館の地下に「よかよか」という博多うどんの店がある。
オキニイリの甘味処、おかめの近所で食堂街の一番端という目立たぬところにあって、結構流行ってる。
博多うどんと言えば「うどんはコシが強いほどおいしい」といわれて日本全国で愛でられている讃岐うどんの真逆の料理。
コシがぬけるほどにやわらかく、あたかも汁がうどんの形をなして口の中へと滑り込んで来たんじゃないかと思えるほどみずみずしい。
讃岐うどんは麺を食べる料理。
一方の博多のうどんは汁を味わう料理と言えるほど同じうどんと名前がついてはいるけれど、まるで違った種類の料理。
東京ではなかなか食べることができないのに不便をしていた。この店ができたときには本当にうれしく、ただ博多から1000キロちょっとの距離がある分、やっぱりちょっと東京風になってはいるけど、わざわざ旅をしなくても博多の気分を味わえるのはありがたい。
券売機にさまざまなうどんのボタン。
まずすうどんからはじまって、わかめにきつねと続き、そこから一気に博多うどんっぽさが色濃くなっていく。
まる天、ごぼ天、肉にかしわ。
ひとつひとつ読み上げていくだけで気持ちが高ぶる(笑)。
トッピングが2つ選べてご飯ものもついて700円というセットがあって、しかも今日はそのトッピングが肉とごぼ天。
かしわ飯をお供に選ぶ。
それにしても担々パクチーうどんを強力プッシュしていて、なぜにと思った。話題づくりのためかしらん…。
食券を受け取った人はアジア系の人でちょっと発音たどたどしくて、けれど元気に注文が通っていく。厨房の中からおいしい出汁の匂いが漂ってきて、昔はそういやこういう匂いがしなかった。もしかしたらおいしくなっているのかもな…、とワクワクしながら料理をまった。
大きな丼にたっぷりの汁、そしてちょっと細めのうどん。
上にたっぷりトッピング。
甘く煮込んだ牛肉に、ハスに切ったごぼうの天ぷら。
わかめにネギに薄く切った紅白かまぼこ。
牛肉はホロホロになるまで煮込まれ、汁の温度でゆっくり脂が溶け出してくる。
透き通った汁が脂でキラキラ輝きはじめる。
一緒においしい香りを漂わす。
もともと甘めの汁に煮込んだ牛肉の甘みと脂の甘みが混じる。
ぺっとりとした甘みではなく深みがあって、いろんな甘みが次々舌の上へとやってくるのがたのしくとても味わい深い。
コシがすっかり抜けてしまったうどんです。
しかも細い。
それを「やわ麺」でってお長居しました。ちょっと時間がかかります。とは言え5分ほどかなぁ…、グズグズになる直前まで炊いてもらってそこに汁。
麺の表面のところどころが軽くめくれたように軽く崩れたうどんが出汁のうま味や風味を吸い込み、口の中がたちまち潤う。あぁ、もうほんのちょっとだけなめらかで麺にとろみが出ていれば博多のうどんのようになるのに…、と気持ちがちょっともどかしくなる。
肉が汁を吸い込んでふっくらしてくる。ごぼ天の衣も汁を飲み込みとろんととろけるように壊れてく。天ぷら衣が汁コク、肉の風味が汁に奥行きを与えてくれる。オゴチソウ。
お供にとったかしわ飯。甘くて焦げた香りが香ばしくしっとりしていて顎にやさしい。
れんげにのせて汁に浸して食べるとしっとり。おいしい汁かけご飯のようになっていくのがオキニイリ。
食べ続けると器の中はすべてのものが渾然一体。丼持ち上げ唇当ててゆっくり器を傾けてくと、口の中へとうどんや衣、肉のかけらやネギがトゥルンと流れ込んでくる。
おいしいなぁ…、博多のうどんは麺より汁。堪能しました。ありたがし。
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