長春館の焼肉。ふたりで食べると2倍おいしい
ご近所さんのごきげんマダムと焼肉ランチ。「長春館」にやってくる。
おいしいものが好きな人。しかも不思議と好きな料理がよく似てて一緒に食事をするとたのしい。
彼女もご主人を亡くして今はひとり暮らし。ひとりが寂しいわけじゃないけど、一人じゃたのしむことができないレストランに行きたくなると誘い合う。
ビストロだとか中国料理のお店だとか、料理をシェアすることが前提のお店がいつも候補にあがる。
でも焼肉屋さんに落ち着くことがほとんどで、だって焼肉って仲良き人と網を囲むのがたのしいんだもの。どんなにおいしい肉もひとりで食べると味気ない。
ゴールデンウィークの間、気軽な値段のランチセットはお休みで、それもあってかいつもはにぎわうお店も静か。のんびりできる。
それにしてもこのお店…、通りの反対側から写真を撮ると木々に埋もれるように建っていて、ここが新宿?って思えるステキ。台北だとかシンガポールにいる感じ。
和牛の盛り合わせが気になった。
カルビにロース、そしてハラミの盛り合わせ。それぞれ90gというからひとり135gとほどよいボリューム。それにする。それから上ミノでひと揃え。
ここは牛の銘柄とか熟成だとか面倒くさいことを言わない。
創業昭和29年。東京でもっとも古い焼肉屋さんと呼ばれる店です。その時代の焼肉屋さんって、とやかく言わずにガンガン焼いて食べてっておおらかな店がほとんどだった。
ここもそういうおおらかな店。だから今まで続いたんだと思ったりする。
タレやコチュジャンがおいしいところもオキニイリ。
そして焼きます、入念に。
丁寧に焼いてタレをくぐらせパクリと食べる。
カルビはほどよい脂がおいしく、ロースはザクッと歯切れる食感がいい。
むっちりとした噛みごたえ、強いうま味のハラミも上等。
体のすみずみに元気と滋養がしみいる味わい。
ふたりで焼いてふたりで食べる。同じものを同じように食べてニッコリできる食卓ってなんてステキなんだろう。
コリコリしてて噛むとねっとりとろけるミノもおゴチソウ。
ご飯はたのまず冷麺のスモールサイズと一緒に食べる。
ここの冷麺は本当においしい。
ミニサイズというけど具材はたっぷり、麺が覆われ見えないほど。薄切りにしたきゅうりの酢漬け。白菜キムチにキャベツのキムチ、小さなトマトにパイナップル。小さなトマトが缶詰チェリーに見えるんだよね…、ってタナカくんと言っていつも笑ってた。
蒸した鶏の胸肉をちぎってゴロッと入っているのがまたおいしくて、茹でた卵が半分にゴマに松の実。にぎやかで良い。
スープはきれいに透き通っていて軽いとろみがついている。どっしりとしたコクにうま味が上等なコンソメスープのようであって、冷たくしても味が風味がボケないところにウットリします。
キムチや酢漬けきゅうりのおかげでほどよく酸っぱくて麺はむっちり。スベスベしていてムチュンと歯切れて口の中で暴れる感じがまたうまい。
焼いたハラミを乗せて食べるのと脂がスープにコクがつけ、風味もよくなる。
冷たいスープ…、なのにお腹の中があったまるような不思議なゴチソウ。スープも全部飲み干した。
タナカくんと最後に食べた焼肉がここの焼肉…、今でもしみじみなつかしい。