フカヒレ汁そば、フカヒレかけ飯

フカヒレが好き。
死ぬ前に好きなものをなんでも食べてもいいからと、もし言われたらフカヒレの姿煮込みを腹いっぱい…、とおそらくねだるに違いないほどフカヒレが好き。
そんなフカヒレを麺で食べたり、ご飯にかけたり。シアワセなセットがあって堪能しました。

天厨菜館。新宿高島屋の食堂街の中の店。
大きな窓の向こうに西新宿の超高層ビル街。眼の前は新宿駅の大きな空間。だから視野を遮るものがほとんどなくて明るくて、白い店内ということもあり、お店全体が淡い光で満たされてる…、って感じがステキ。
中国料理店の中には、ガツンと迫力のある味や風味が特徴の店と、やさしくおだやかな味が特徴の店がある。この天厨菜館は後者の代表。上等なスープをベースに素材の持ち味を味方につけた上品な料理が売りで、ボクはこういう店が好き。

フカヒレご飯とフカヒレ汁麺。小籠包が一度に味わいたのしめるランチセットを選んでたのむ。ジャスミン茶がポットに入ってやってきて、小籠包用の黒酢に針生姜が入った器が揃ってそろそろ料理の登場。

まずフカヒレあんかけご飯が来ます。ひょうたん型の陶器の器。蓋を兼ねた上の器には角切りにした大根の醤油漬けとザー菜が乗る。
上半分をとると下の器の中にはあんかけご飯。

ご飯はお茶碗半分くらいの量でしょうか…、それがすっかり隠れるほどにあんはたっぷり。クタクタに煮込んだ白菜、ヒゲと芽の部分を切ったもやしに刻んだしいたけ。フカヒレと蟹肉たっぷり入ってスープと塩で味がととのう。
なによりあんのポッテリとはりのあるフカヒレが、ご飯と混じってその持ち味と食感をひきたておいしくなるのにウットリ。あんがからんだご飯がスベスベ、口の中を転がるさまもオゴチソウ。

そうこうするうちに残りの２つの料理が揃う。
フカヒレのスープ麺に小籠包。

汁麺の上にただようフカヒレは塊じゃなく、繊維をほぐしたものでたっぷり。フカヒレそのものを味わうときにはやはり形を残して煮込んだものがおいしい。
フカヒレを食べてる！って贅沢感に身が悶えるようなゴチソウで、けれどスープを味わう料理においては繊維にほぐしたものがおいしいように感じる。
特に汁麺に浮かんだフカヒレが、麺と一緒に口の中へとやってくると、麺までフカヒレなんじゃないかと口が錯覚してくれてこの上もないゴチソウ感にウットリしちゃう。上等で深い旨みのスープの味もそのおいしさを引き立てて今日もウットリ。

あんかけご飯を口に含んで、トップノートを味わったらすかさずそこにスープ麺。スープにとろけが混じって口がにぎやかになり、甘露甘露と味わい続けていたいのにあっという間に喉の奥へと引きずりこまれる。なんとご無体…、しょうがない。
小籠包は小ぶりでスープたっぷりで、黒酢につけた針生姜といっしょに食べると口が潤う。行列せずとも十分おいしい小籠包が味わうことができる今の日本に感謝。
ゆっくり味わうつもりがあっという間にお腹の中に収まって、すりおろした胡麻を散らした杏仁豆腐をムチュンと味わいお腹に蓋する。堪能しました…、オキニイリ。