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釜かけうどんのおいしいことに悶絶す!
中野に来たついでに、「うどんや大門」にひさしぶりに来てみた。
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中野ブロードウェイにうどん屋さんが出来たらしいよ。讃岐の有名なうどん屋さんで修行した人が独立して作ったらしい…、ってタナカくんが聞きつけたのが5年ほど前。
高松の大学に行き卒業後もしばらく住んでた。「おそるべきさぬきうどん」って本のイラストを描いてたほど讃岐のうどんが好きだったから、早速行ってみることにした。
アニメ好きだったタナカくんにとって中野ブロードウェイは聖地のひとつでもあって、ついでのような気軽さで…。
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地下一階の細い通路に張り付くようにお店はあって、勇んで食べてみたのだけれど、どこか味わい頼りなくあまり印象に残らなかった。だから来たのはそのとき以来。
当時に比べてもシャッターが降りたままのお店が増えたさみしい通路に、そこだけ行列。開店待ちの6人目。カウンターに6人座って満席だからうれしいことに一回転目の最後の一席もらえる勘定。
待ってる間に注文をとる。「釜かけうどん」と決めていた。
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ゆがいたうどんを洗わずそのまま器に移し、熱い汁をかけて味わううどんの風味をあますことなくたのしむ食べ方。大好きだった食べ方でした。
開店同時に席につく。
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タオルで頭を覆ったTシャツ姿のご主人に割烹前かけ姿の奥さん。ご主人がうどんを仕上げるタイミングに合わせて奥さんが天ぷら揚げる、息の合った共同作業に5年の月日を感じてニッコリ。丸くて大きな天ぷら鍋で丁寧に揚げられていく天ぷらの香り高くておいしげなこと。うどんのお供にげそ天と茄子の天ぷらを注文します。
じっくり待ちます。
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茹で上がったばかりのうどんを網で何度も持ち上げながら、落ちる茹で湯で器をあっため、そこにうどんをスルンとすべらす。
熱々の汁をそこにかけながら「薬味はどういたしましょう」と。
ネギに生姜、大根おろし、天かすが自由に選べて、ネギに生姜に天かすもらう。
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透き通った汁。細めの麺がゆらゆら揺れて、そこに一枚。薄く伸ばしたひらひら麺が泳いでる。
いりこの香りがほわんと漂い、鼻をくすぐりウットリさせる。
ズズッと汁をひとすすり。
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うまいっ!出汁のうま味に塩がくっきりとした輪郭を作って味が整う。ひたすらゴクゴク、飲んでいたくなるほどの味。かつて感じた物足りなさなどみじんもなくてビックリします。
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水でしめない麺はなめらか。小麦の香りが力強くてトゥルンと唇なでて口の中へとやってくる。
やわらかなのにハリがある。博多うどんのふかふかとしたやわらかさと違って、ムチムチとした肉感的ななめらかさ。おいしい汁をまとわせて口の中へといざなうステキ。おいしくっておいしくて、一心不乱に食べたくなっちゃう。
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天ぷらはできたて、熱々。なす天をのせるとジュワッと油が揮発する音がする。半分に割って汁をすわせてぷるんと食べる。げそはひと口大に切り分けてから衣をつけて揚げられていて、サクサク、むっちり。天ぷら衣の油が汁を一層おいしくしてくれる。
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東京で一番好きなうどんがみつかる。これを一緒に食べたかったって思ったら、かなしくってくやしくて泣けてきちゃった。オゴチソウ。