経営にロマンは必要?それとも邪魔モノ?②
イタリア系のアメリカ人が経営する10店舗ほどのチェーン店でした。
店数はそれほど多くはないけれど、どの店も200席を超える大型店でしかも客単価も50ドルほど。
ブランド力もあって、ブランドイメージに見合うだけのいいロケーション。
当時、大型レストランが流行った時期でもあって、彼らは大きな店を難なく動かすオペレーション力と製造技術があるということを自慢にしてた。
ボクらも何百人分ものイタリア料理を遅れなく、しかも一定の品質で作り続けることができるシステムに対して大いに関心があって、だから「厨房をご覧に入れましょう」と案内されたときにはワクワクしながらドアをくぐった。
厨房の中を一目見るや「あぁ、こりゃダメだ」って声が出ました。
運動会ができそうなほどに大きな厨房。
雑然と並べられた厨房機器の間に人、人、また人。
ざっと20人は調理人がいたでしょうか…、それにくわえてバスボーイだとか食器洗浄機の前にはワッシャー。
彼らは色の浅黒い人たちで、ひと目で移民系と見てとれる。
システムではなく経験と安価な労働力を営業の基本に据えるという、まさにボクたちが排除しようとしていたものが目の前にある。
そしてそれを自慢気に披露するという彼らとボクらは一緒にやっていくことはできぬだろうと、視察旅行の後半はどう断るかというばかりみんなで話し合ってた。
外食産業は狭い産業。
どこかで再びつながる可能性がゼロではなくて、角が立たぬよう彼らから一緒にできないと言ってもらえるようにするにはどうすればいいか…。
思案の結果、彼らに日本のイタリア料理の世界を経験してもらうため日本に招待しようじゃないかということになる。
その作戦は見事成功するのであります。
太平洋は広くて遠い
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