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南昌飯店の焼きワンタン

夜に四谷三丁目を歩くのが、しばらくさみしくってしょうがなかった。
今年に入ってちょっとづつ気持ちが落ち着きはじめたようで、ときどき夜の近所を歩く。
南昌飯店の前を通ったらお店のおかあさんに呼び止められてせっかくだから晩ごはんを食べていこうと思って入る。

「いつものテーブルがあいてるわよ」っていつものテーブルに案内される。

向かい側にいつも座っていたんだなぁ…、と思ってぼんやりしていたら「おとうとが死んでもう2年?」っておかあさんが聞いてくる。

「2年と一昨日で4ヶ月」って答えたら「まださみしい?」って言うから素直に「さみしいねぇ」。さみしいって言える人がいてくれることがありがたくって気持ちがちょっと軽くなる。

今日おすすめの定食が「豚肉と野菜の炒め物」。

それと「焼きワンタン」を選んでたのむ。
焼き餃子じゃなくって焼きワンタン。

茹でた肉ワンタンを中華鍋で焼いて仕上げた料理で、これが
なかなかおいしい。
ワンタンだから餃子に比べて皮が薄い。
それが焼かれているから生地はパリパリ、くるんだ餡はふっくらしていて肉汁たっぷり。餡にしっかり味が入っているから酢醤油を使わなくても十分おいしい。
ちょうどひと口分の大きさで食べやすいうえ、おいしい肉汁をもれなくたのしむことができるのがありがたい。
定食はメインの料理にご飯に汁、野菜サラダがついてひと揃え。夜のお腹に十分すぎるほどの分量。特にご飯の量が圧倒的で、半ライスって言えば良かったってちょっと後悔。

メインの料理もボリューム満点。

キャベツにもやし、ネギに玉ねぎ、にんじん、キクラゲ。ひと口大に切り分けた豚肉には粉がはたかれ油通しされていて、それが軽くとろけて味がしっかりからむ。
中華スープに醤油の風味。塩がしっかりきいていて濃いめの味がご飯をねだる。
もやしはシャキシャキ、キャベツがゴツゴツ、キクラゲくにゅりと食感多彩で口の中がにぎやかになる。噛んで噛んで、顎を使って食べるから分量以上の満腹感を味わえるのがありがたい。

お酢をたっぷり注いで後口スッキリさせて、玉子スープにはラー油を垂らす。

もりもり食べてお腹いっぱい。ご飯は3分の1ほど残してしまう、ごめんなさい。


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