石焼ビビンバは空気を含ませてふっくらと焼く!
韓国料理の妻家房。
わが町四谷三丁目のランドマークといえば消防博物館にスーパー丸正。それから多分、この妻家房。
一階が韓国料理の食材の小売コーナー。奥にキムチ博物館が併設されてて、2階にこじんまりとしたレストラン。
働いている人たちはほぼ完璧に韓国系の人たちで、小さな韓国旅行をしているみたいな気持ちになれる不思議な空間。ひとなつっこく元気なおばちゃんがニコニコしながら働いてるのも、韓国的で悪くない。
古い建物で隙間風がかなり激しい。暖房いれても温度が上がらず真冬なんてブルブルしながら料理を食べることになる。
でもそれが良かったりするんです…、熱々で辛い料理で冷えた体が中からポカポカあったかになる感じが楽しく、気づけば汗をかいてたりする。今日もお店は涼しくて、よし、熱々の石焼きビビンパを食べてやれ…、って注文しました。
ハーフサイズの石焼きビビンパにネギのチヂミにスープにキムチ。もやしのナムルとおでんの煮付けが小鉢がわりでひと揃え。
チヂミはここの名物料理のひとつ。そういえば、ボクが生まれてはじめて食べたチヂミはここのチヂミだったと思う。
チヂミの味を評価するのはむつかしい。理由はこれが正解というものがどこにもないからで、韓国に言って食べても店によって焼き方、食感、味が違って当然で、バリバリもあれはふわふわもあり。だからよい悪いでなく、好き嫌いで評価しなくちゃ行けなくなっちゃう。
ここのはふっくらやさしい食感。具材はネギとイカ、アサリ。ネギがキュッキュと奥歯のところで音を立てる感じを味わう趣向。好きなタイプのオキニイリ。
さてメインの石焼きビビンパ。
小さいけれど分厚い石鍋。
思う存分、熱を蓄えジューっと湿った音と一緒に湯気をもうもう噴きあげている。
真ん中にポンっと卵黄一個。
もやしにワラビ、青菜のナムルに肉そぼろ。
韓国海苔がキレイに並ぶ。
これを下のご飯とかき混ぜ食べる。混ぜれば混ぜるほどおいしくなるんだ…、と言われるけれど正しく混ぜないと台無しになる。
スプーンでひっくり返して、箸で混ぜる。ご飯をスプーンで押しつぶさないようにしないとおいしくならないんだ…、って蘊蓄たれたらボクには無理だから代わりに混ぜてって言われてそれからずっとビビンパを仕上げる役目はボクの仕事になっちゃった。
コチュジャン、ポテッ。エイや!とご飯をひっくり返すとキレイに焦げててそれをお箸でほぐしつつ具材と混ぜる。スプーンで再びひっくり返し、お箸で混ぜるの繰り返し。途中で何度かコチュジャンを足し味を確かめ仕上げてく。
大切なのはご飯の粒を潰さないこと。空気をたっぷり含ませるよう混ぜてくと自然とすべての素材に熱が入ってパラパラになっていく。全体がキレイに混ざったら表面を軽く平らにならしてしばらく安ます。
蒸気が最初はフツフツ噴き出し、それがしばらくすると落ち着き静かになったらやっと食べごろ。
コチュジャンがお米の粒をコーティングして食感しっとり。なのにパラパラ、口の中舞うようにして散らかっていく。これよ、これ。これがおいしい石焼ビビンパ。彼もこれを食べるたび、蘊蓄言うだけのコトはあるよねってニコニコしながら食べくれてた。
キレイに食べて暗くて急で狭い階段、とぼとぼ降りた。また来て食べよう…、オキニイリ。