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ローズベーカリーでアールグレイに秋のクリームティー

英国の料理はまずい。
そう言われることが多かった。
今では決してそんなことはなくなったけど、たしかに20年ほど前までは日本人の口に合わない料理が多くて、がっかりさせられることがあった。
産業革命以降、イギリス人は働くことに一生懸命で料理をおいしくする手間と時間をかけることを怠ったから…、なんていう説もあるほど。
けれどそんな昔から、お茶とお菓子はおいしかった。
アフタヌーティーとかハイティーだとか、優雅なお茶の楽しみ方を世界中の人たちが真似たほど。

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英国の優雅を味わいましょうと銀座のローズベーカリーにやってきてみる。
コムデギャルソンの川久保玲さんがディレクションしてるセレクトショップ、ドーバーストリートマーケットギンザの最上階にある。
飾り気がなく実用的で、けれど上質。
コムデギャルソンみたいな未¥店のインテリア。
ショーケースに並んだお菓子や食卓につくお客様の姿がはえるようにという配慮を感じる。
アールグレイのお茶をもらった。

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以前は鉄瓶に入ってやってきていたお茶が今では実用的なステンレスのポットに変わった。
こちらの方がずっと軽くてカップにお茶を注ぎやすくなるから悪くないかもしれないけれど、特別な部分をなくしてしまうのは勿体ないなぁ…、ってちょっと思った。

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お茶のお供にケーキやペストリーの盛り合わせ。クリームティーを選んでたのむ。

英国のお茶のたのしみ方のひとつがクリームティーで、簡素なアフタヌーンティーっていう感じ。基本は紅茶とスコーン、クロテッドクリームとジャムが添えられるというもの。
ここのはちょっと贅沢にスコーンの他にも英国伝統のケーキも一緒に。一本足の憑いた丸い木皿にきれいに盛り付けられてやってくる。
かわいらしいケーキが宙に浮かぶ景色がうやうやしくて、ウキウキしてくる。

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スコーンはちっちゃい。
一口サイズ。
コリッと硬くてボロリと崩れる。
口の中でボロボロ崩れてちらかって、唾液を思う存分吸い込んでいく。
英国のお菓子の特徴のひとつがこういう「ボロボロ感」。
日本のケーキはみんなみずみずしかったりとろけたり、ふんわりしてたりふっくらだったり、それだけで十分おいしく味わえることを目指してできる。英国の焼き菓子のほとんどはその反対で、自然と紅茶をねだるようにできている。
ただすぐに紅茶を飲んでしまうと勿体ないほど味わい、食感複雑なのも英国菓子の特徴。
スコーンもしばらく口の中で弄んでるとボロボロがゆっくりネットリ粘りはじめて挟んだクロテッドクリームやマーマレードの風味、香りが広がってくる。ウットリしながら、そこで紅茶。
アールグレイの香りや紅茶の渋みが口をスッキリさせて、次の一口の準備が整う。

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カップケーキはカカオの香りの生地の中にビターチョコ。チョコ味のバタークリームを上にたっぷり絞って上にフランボワーズ。
甘みと苦味と酸味のバランスが見事なもので、しかも「甘い!」。頭や心のシワがみんな取れちゃいそうなほどの甘さにウットリします。

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スポンジ生地にゼリーにクリーム、果物を積み重ねて作るイングリッシュとライフル。
季節のリンゴの甘酸っぱさとカスタードクリームの代わりにレモンクリームを使ってキリッと酸っぱく体がたのしく震える。
ざっくりとしたレモンの味のスポンジケーキ。コリッと硬いチョコクッキーと味わい、食感多彩をたのしむ。

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イギリスの植民地といえばなぜだか紅茶の産地が多く、そこから運ばれてきた上質な紅茶がお菓子の文化のはじまりでしょう。
しかもイギリスのミルクはおいしい。
乳脂肪分たっぷりで、味わい濃厚。
それが紅茶をますますおいしくさせていき、ケーキやビスケットをおいしくさせる役割も果たす。
ベリー類が豊富でおいしいこともイギリス、カントリーサイドの特徴で素材に恵まれたから、飾ることなど必要なくシンプルに素材の味わいをたのしむケーキが生まれたんだ…、と思ったりする。そういうお菓子がボクは好き。


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