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ティラミスに泡。セガフレード・ザネッティ

新宿三丁目に戻ってきて、ティラミスを食べたいなぁと思ってセガフレードザネッティ。

マキアートと一緒にたのむ。
1階の通りに面したカウンター席に座る。

明るくて居心地のよいい2階の席もいいのだけれど、そこにいるとタナカくんと一緒に座ったことを思い出しちゃう。テーブルの向かいの席が空っぽなことに今でもなんだか慣れない感じ。
1階のカウンター席は待ち合わせのときに座った場所です。
一緒に並んで座ることはほとんどなくて、だから今でもここに座るといつかタナカくんがやってくるような気がして、それはなつかしい。
それにお店で働く人たちが明るく元気で、気持ちも明るくなるのがうれしい。

長方形に几帳面に切り分けられた拍子木状のティラミス。

泡がふっくら盛り上がる見惚れるほどにうつくしいマキアート。小さなカップから溢れてしまいそうでいて、なのにずっとそこにそのままいてくれる泡。見ているだけでしあわせになる。

そしてティラミス。
スポンジがしっとりしていて口溶けがいい。
エスプレッソとシロップを吸い込んでいて舌にのせるとひんやりさせる。
一方、フィリングのマスカルポーネは若干硬めでしっかりしてる。フォークでスパッと切れて断面までもがキッパリしてる。
そして重たい。
上にちらかるココアパウダーが一瞬、口を乾かす感じが面白く、口の温度でそれもとろけて消えていく。
おいしいなぁ…、甘すぎず、苦すぎず、柔らかすぎず、硬すぎない。すべてが過ぎずほどよい感じがオキニイリ。

マキアートの泡をスプーンですくって乗せる。
しっかり立てたクリームみたいなミルクの泡は、ティラミスの上でもずっと形を崩さずそのままあって、ケーキと一緒に口に運ぶと上顎撫でて潰れて消える。
ミルクの香りがティラミスを一層おいしくしてくれる。

ここのマキアートは本当においしい。どっしりとしたエスプレッソの苦味がミルクでふくらんで、飲み終えるまでずっとミルクの泡が消えずに残る。
最後のひと口なんてエスプレッソ味のホイップクリームを飲んでるみたいに肉感的で、そのなめらかはビロードみたい。オゴチソウ。

そういえば、昔ここのティラミスは円形だった。
生地がビスケットっぽいざっくりした食感で、それはそれでおいしかった。おいしかったけどタナカくんと何度か一緒に食べたティラミスがその形。亡くした後に何度か食べてみたけれど、いろんなことを思い出して辛くなっちゃうから食べなくなった。
形が変わって出直してくれ、今ではこうして食べられる。でも一緒に食べたかったなぁ…、ってやっぱり思う。しょうがない。


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