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明日から暫くお休みになる、その前の今日
夜、六本木のオステリアナカムラ。
一週間ほど前に「最近、いかがされてますか」ってメッセンジャーで連絡したら10日からしばらく休む予定なんですと。
それは大変とその前日に予約してやっと今日が来た。
飲食店が長期休業をするって本当に大変なコト。冷蔵庫や冷凍庫に残った食材ってどうなるんだろう…。今日を目指して上手に仕入れを調整したのかなぁって思ってメニューをみるといつもに増して充実の品揃え。
大丈夫って聞いたら、ありがたいことにいい具合になくなってくれているんですよ…、って。
ここ連日、毎日通ってきてくれているっていうおなじみさんに至っては「今日は何を食べればいいの?」って在庫を気遣い注文してる。飲食店は互いが互いを思いやり、みんながシアワセになるための場所。こういうときこそ助け合い。
まず今日のスープ。新玉ねぎの冷たいスープ。キリッと冷えたグラスにたっぷり。スープというよりなめらかなピュレ。上にたっぷりオリーブオイルを注いでスプーンですくって食べるとぽってり舌にのっかって、スルンと喉を駆け下りる。甘い、甘い、旨味も強くてやっぱり甘い。自然な甘みで、だから後味スッキリとして次のひと口ねだるおいしさ。あっという間にお腹におさまる。
2つ目の前菜はブッラータチーズ。
モツァレラのようなフレッシュチーズでよりミルキーで、口の中で生クリームになっていくようなとろけ感と旨味を思う存分たのしめる。そこにオリーブオイルと塩、胡椒。
1つはトマト、もう片方には生ハムを添え一緒に食べると口の中で料理ができる。トマトも生ハムもそれぞれそのままでも十分おいしく、ウットリしてくる。
パンをひとかけ。
ハムを千切ってくるんで食べるとワインをねだるオゴチソウ。
コクのあるどっしりとした風味の白をもらって味わう。
お腹が本格的に動いてくるのがまたうれしい。
赤ワインで煮て冷やした玉ねぎ。
ホロホロになるまで煮込んでこれも冷やした牛すじ肉をセルクルに詰めてハーブをのっける。
シャキシャキとした玉ねぎとねっとりとろける牛すじ肉の食感たのしく、口の中をおいしい肉の風味と旨味が満たしていく。
今日のメインは何がおすすめ?って聞くと、メニューにはないけど鴨がいい状態という。すごく悩んで結局別の料理を選んだ。そしたらそのやり取りを聞いていたお隣さんがそれをたのんでひと切れどうぞとおすそ分け。
塩と胡椒で焼いただけ。なのにこれがおいしくてさすがおすすめと感心しました。脂はほどよく状態もよく、ザクッと歯切れる食感にほとばしり出る肉汁。あぁ、これにすればよかったかもねと思うもすでに料理はスタートしてございます。
パスタを2種類。
どちらもショートパスタでひとつは菜の花とカラスミで味を整えたもの。ゴリゴリとした歯ごたえと、硬さがずっと持続する頑丈な食感がたのしいパスタにたっぷり、これでもかって削ったカラスミ。菜の花のシャキシャキとした食感に軽い渋みがオリーブオイルの風味とまじり、パスタを全部食べ終わっても相当量のカラスミがお皿に残ったままになる。
それをパンで拭って残さず食べる。オリーブオイルと一緒になってまるでソースのようなカラスミ。塩の風味と魚卵の甘味。お皿は洗ったようになる。
もう一種類はイカリングの形のパスタ。ほどよく大きく口の中での存在感が力強くて、クニュクニュ暴れる。ソースは魚介のラグーで強い旨味とトマトの酸味。ずっと口の中にとどめて置きたい衝動にかられ続ける。オゴチソウ。
さてメイン。
牛カツレツのピッツァオーロソースを選んだ。
イタリアンレストランのカツレツは、メニューに見つけるとたのまずにはいられなくなるオキニイリ。
ここで牛カツレツは珍しく、しかもソースはピッツァイオーロ。
トマトソースにチーズをたっぷり混ぜ込んで、赤唐辛子でピリピリとした辛味をつける。肉は叩いて薄く伸ばしたもので細かなパン粉と一体化。ソースを吸い込み、まるでソースがカツレツの形をなして舌の上にのっかる感じ。
焦げたパン粉の香ばしさ。カサカサとした舌触りにサクッと歯切れる肉の歯ごたえ。
鴨のグリルを食べたときに揺らいだ気持ちがピタッと戻る。こりゃ、旨い。
とても気持ちよく食事が終わり、〆に甘いもの。ナッツをたっぷり混ぜ込んでリコッタチーズと一緒に焼いたドライケーキに焼いたメレンゲ、ホイップクリーム。ケーキで口を乾かして、ホイップクリームで乾きをとろかす。
ごきげんな夜はそろそろおしまい。そしてしばらくお休みのここ。再開したらまた来ましょう…、とお店をあとにいたします。