見出し画像

ひさしぶりの木蘭。かわらぬおいしさ

思い切って「木蘭」に来てみる。

家から歩いて5分強。新宿一丁目にある小さな中国料理店。タナカくんとよく来ていたお店です。
ほとんどが夜。飲みながらいろんな料理をたのんでじっくり食事をたのしんでいた。紹興酒のボトルキープもしていたほど。
彼が逝ってから一度だけ、友人とふたりできたけどそれ以来。
思い出がありすぎちゃってネ…、ひとりじゃ怖くてこられなかった。
でも月命日の今日。
お店の前でぼんやりしてたら「そろそろ行ってみたいよぉ」って声が空から聞こえたような気がして来てみた。

厨房前のカウンター周りだけを見るとちょっとスナックみたいな雰囲気。椅子の背当ての籐細工がくたびれたりしてて、けれど料理は本格的。
大好きだった鶏肉の味噌炒めの定食に、これまた大好きだった春雨サラダをつけて注文。
春雨サラダはお酒のお供に、夜にもやってる定食は飲んだ〆にと食べていた。

本当に丁寧に作られている。
ザクザク切って、硬めにゆがいて冷ました春雨。
キュウリにハムはその春雨と同じ細さ、同じ長さに切り分けられて錦糸卵をフワッと飾って出来上がり。
胡麻ダレポン酢はすっきりとした味わいで、これで紹興酒のオンザロックを飲むのが本当に好きだった。

鶏肉の味噌炒めの仕事も丁寧。

皮を剥いで小さなサイコロ状に切った鶏の胸肉にスープをしっかり飲み込ませ、油通ししたキャベツと一緒に味噌で炒める。肉はふっくら、キャベツはパリパリ。

甘辛くってちょっと酸味を帯びた味噌はしっかりとした味わいでご飯がすすむ。

ご飯が平皿に盛り付けられているのもここの特徴で、ほどよく押さえつけながら形をキレイに整えている。

だからお箸で持ち上がる。箸の上ではしっかり形を保っているのに、口に入れるとハラリと散らかる。ご飯は硬めに炊かれているから、粘らずカラコロ転がる感じが心地よい。

大きな薄切り搾菜は味がしっかり整えられて、上品なスープに卵がふわりと浮かんで揺れている。
おいしいなぁ…、おいしくってなつかしい。

食事を終えてお店を出るとき、いつもボクらが座ってた通りに面したテーブルを見たらゲイカップルが仲良く食事をしてらっしゃった。昔をしみじみ思い出す。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?