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小籠包を食べるならここ…。

おいしい小籠包を食べたくって新宿三丁目の「阿杏」に来ます。
ひさしぶり。

雑居ビルの中の小さなお店。鼎泰豊とか京鼎樓とか、台湾出身の小籠包を売り物にしたチェーン店があるけれど、そんなところに行くのがバカらしくなるほどおいしく、手軽な値段のオキニイリ。


エレベーターにのって扉があくといきなりお店。ちょっとあやしい感じにびっくりするけど、お店は明るくスタッフも明るく親切。
ランチは町中華的料理が10種類ほど、麺や飯類がそろっててそれらに蒸し小籠包か焼き小籠包をセットにできる。


焼き小籠包のセットは1330円。ちょっと時間がかかるけど待つだけの価値のある名品。酢豚のセットにします。


最初にスープに小鉢にデザート。杏仁豆腐までもがいきなりやってくるのが中華的とでもいいますか…、ポットに入った冷たいジャスミンティーはセルフサービス、飲み放題。気軽なところが悪くない。


ぽってり、とろみのついたスープ。塩味で透明なのに味がしっかり決まってて、豆腐や山菜、刻んだ野菜がサラサラ口の中へとやってくる。
中国、台湾系の人がやってるお店のセットスープは大体こういうスープでちょうど韓国料理のお店のワカメスープを思い出させる。簡単にできる何かがあるのでしょうネ…、おいしいんだからそれもよし。
小鉢は千切りの押し豆腐。麻辣味でビールがおいしく飲めそうな味。


酢豚は赤いケチャップ味。ピーマン、パプリカ、玉ねぎがたっぷり入ったなつかし系で、ご飯のおかずにはこれが良い。なにより分厚い衣をまとった豚肉がやわらかで、ガシッと衣が壊れる食感がそのやわらかを引き立てるのがオゴチソウ。

ご飯を半分残して酢豚を食べおえ、それからじっくり。
注文してから20分ほどたったところで焼き小籠包が出来上がる。


コロンと4個。
上半分の生地は薄くて、くるんだ餡が透けるよう。
一方、底は分厚く揚がったようにこんがり仕上がる。蒸し小籠包と揚げて仕上げる韮饅頭が同居しているような風貌。
お店の人が「熱いですから気をつけて」ってワザワザ言ってくれるほど中は熱々。
しかも分厚い底が噛み切りづらく食べることに難儀する。


蒸し小籠包ならレンゲに乗せてお箸で破ってスープをまず飲み、残りはひと口で食べればいいけど、大きく頑丈な焼き小籠包。ひと口で…、とはなかなかいかずそれが難儀の種なのです。
そこで活躍するのが半分残したご飯というわけ。


ご飯の上に焼き小籠包をのせて生地を箸で割る。中からスープが噴き出して小籠包から溢れてく。それをご飯が受け止めてくれるから安心しながら箸で割り、食べやすいサイズにしてからパクリと食べる。


スープをご飯に吐き出しても餡はまだまだみずみずしくて、噛むとバリっと底が壊れて散らかって、上半分の生地はプルンと上顎なでてとろけて消える。
真逆の食感の食べ物が一度に口の中にきて、混じり合っては消えるたのしさ。
そしてやっぱりスープがおいしい。豚肉由来の上品にして豊かなうま味。ゼラチン分が唇同士を貼り付かせ、口の中をスベスベさせる。滋養に満ちたオゴチソウ。黒酢にチョコンと浸して食べると酸味と風味がスープの旨味をクッキリさせる。ハフハフしながらひと口、そしてまたひと口と食べ進む。
食べてるうちにご飯がスープまみれになっていく。


これがおいしい。ご飯の粒のひとつひとつがスープをまといスベスベコロコロ、口を転がる感じが格別。おいしいスープをもれなく味わうたのしい食べ方。堪能しました…、オキニイリ。


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