伊勢丹会館の一階の奥、で思うこと
伊勢丹会館の美鈴珈琲で朝をとる。
昔、ここには「BUN」っていう喫茶店があった。
タバコの匂いと伊勢丹系のおしゃれな人たちの香りがうず巻く、独特の雰囲気が好きで当時は本当によく来てた。
伊勢丹の開店時間に合わせてお店がいっぱいになる。10時が近づくとお店がソワソワしはじめて10時過ぎにはすっかり人がいなくなる。
入れ替わりで伊勢丹で打ち合わせをする人たちがポツリポツリとやってきて、彼らの会話を聞くのが楽しく思わず長居をしてしまう。
サンドイッチがおいしかったなぁ…、スパイシーなチリミートをかけて仕上げるホットドッグもうまかった。
今日も伊勢丹の開店が近づくに従ってにぎわいはじめた。けれどかつての心地よい緊張感はなくなった。店が変わったせいなのか、伊勢丹という場所が持つ引力が変わったのか。わからないけどちょっとさみしい、しょうがない。
このビルのオフィスで打ち合わせすると「BUN」のコーヒーが出前で来たものです。
大家さんとテナントのやさしい関わりを感じて、いいなと思った。
それもすっかり過去のコト。
アイスコーヒーのお供のミルクはフラスコみたいなピッチャーでくる。これが注ぎやすくていい感じ。
メインのトーストセットは野菜サラダとゆで卵がセットで580円。
この安さはありがたいのだけれど、ここまで安くなくてもいいのになぁ…、って思ったりもする。
酒からコーヒー、夜から昼へとシフトしているその先に、かならず「朝食」って需要はあるはずなのに安くしないといけないと思い込んでしまうと結局、儲からないからもうやらない…、ってことになっちゃう。勿体無い。なんだか今日は愚痴っぽい。
千切りキャベツがメインのサラダはシャキシャキ歯触りたのしくて、茹でた卵はスルンと剥ける。
パンそのものが甘いパン。バターがたっぷり塗り込められてて唇ひんやりさせるところはうれしくて、お腹に全部おさめたところでカウントダウン。伊勢丹の開店に合わせてお店を出ます。
入り口前についたのが9時58分で、すでに扉の前にはお店の人がたって扉を開ける準備ができてる。
ベルがなります、ドアが開く。
この瞬間が大好きでふたりで狙ってよく来てた。胸を張って手をふって気持ちはスキップするようだった。今も変わらず10時になると伊勢丹の1日が華麗に優雅にはじまるんだ、と思うとなんだか泣けて来た。
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